アリスとウサギ


 ある程度必要なものを揃えると、結構な量になった。

 ウサギと手分けして袋を抱えて帰宅した頃には、もうぐったり。

 久々に入るウサギの部屋はやっぱり生活感がなく、これからここで多くの時間を過ごすと思うと、なんだか落ち着かない気もする。

「俺、炊飯器出してくる」

 ウサギはそう言って衣裳部屋のほうへ行ってしまった。

 そういえばこのキッチンには炊飯器どころかまな板やフライパン、鍋も見当たらない。

 それにたった今気付いたアリスは、結局肉じゃが作れませんでした、というオチが頭に浮かんでいた。

 向こうの部屋からガサゴソ音がしている。

 大体炊飯器を持っているくせに、出してもいないなんて。

 じゃあ何で買うのよ、という話だ。

「あったあった」

 箱を両手で抱えて戻ってきたウサギ。

 開封すると、未だ使われていないピカピカの炊飯器がお目見え。

 ご丁寧にしゃもじ付きだった。