アリスとウサギ


 彼女という言葉に、アリスはジーンと地味に感動する。

 一方ルイは目を丸くして口に手を当て、驚きの表情を見せた。

「わぁ、伝説もいよいよ終わりなんですね」

 ……伝説?

「コラ、余計なこと言うなよ」

 内容が気になるところだが、どうせ自分にとっては良くない伝説だろう。

 キャバ嬢○人斬り、とか。

 こう予想したアリスは、興味のないふりをして近場にあった料理酒を籠に詰め込んだ。

 最低の女たらしであるこいつのこと。

 良くない噂なんてこれから腐るほど聞くだろう。

 今のうちにショックの覚悟を決めておいた方が、身のためかもしれない。

「じゃ、生まれたら連絡しろよ」

「はい、ありがとうございます」

 ルイは笑顔で去っていったが、どこか意味深な表情をしていたのが印象的だった。

 去り際のその顔から、ルイがアリスを良く思っていないことは明らかだ。