君と生きたあの夏を、ひまわりだけが覚えている

あれから、僕は病院に戻らなかった。
残された時間がどれだけ短いとしても、もう絶望して部屋に引きこもったりはしない。

サクラが命を懸けて守ってくれたこの世界で、彼女が生き抜いたこの青空の下で、僕はしっかりと前を向いて生きる。
風が吹き抜け、ひまわり畑が一斉に黄色い波を打つ。
みんな、太陽に向かって真っ直ぐに笑っている。

「ただいま、サクラ」

僕は胸のポケットに入れた一粒のひまわりをそっと握りしめ、青空に向かって歩き出した。
たとえ世界がどう変わろうとも、僕とサクラが共生きたあの夏を、このひまわりだけは、永遠に覚えているから。

(完)