朝昼夜の三重人格な陛下と、第三王妃の聖女な薬師

 そうして三人は厨房から大浴場へと移動する。どちらも昼の城の一階にあるのですぐに着いた。
 脱衣所に入っただけで、その扉の先にある浴槽の湯に浮かぶ薔薇の香りが漂ってくる。
 それぞれがドレスを脱いで白いタオルを体に巻くが、ランナはモニカの胸元に釘付けになった。

(う、わ、モニカ様のスタイル、バスト、すごい……!)

 見事にくびれた細い腰と、タオルで隠しきれないほどに盛り上がるバストの山と深い谷間は芸術品のようだ。
 銀髪と碧眼という神聖で清楚なイメージのモニカからは想像がつかない大胆なスタイルから目が離せない。
 ランナでこうなのだから、アサはどうやって理性を保っているのか……あの涼しげなアサの笑顔は尊敬に値する。

 浴室に入ると、金色の柱に囲まれたプールのようなサイズの浴槽が絶景となって目に飛び込む。一度に10人以上は入れそうだ。
 ランナはいつも自室の小さなバスルームで入浴していたので、大浴場は初めて見る。華やかで甘い香りの源は、湯に浮かべられた白薔薇の花びらだった。
 驚きと感激のあまり絶句して立ち尽くすランナの隣でポーラが忠告する。

「ランナ、泳いじゃだめよ」
「……うっ」

 さすがは付き合いの長い姉。見事に思考を読まれてしまった。そんな二人を見たモニカは声を出して笑っている。
 まず体を洗い流した後に三人で一緒に浴槽に入る。プールのように広い浴槽ではあるが、三人は隅で寄り添うようにして座った。
 お互いの顔が見えるように三角形の位置で座り、肩まで湯に浸かっている。ランナの視線はモニカとポーラを行ったり来たりで落ち着かない。

「ランナさん、どうかいたしましたの?」
「あ、いえ……モニカ様とポーラ姉さんのスタイル、すごく良いから……」
「あら。ランナも最近、色っぽくなったわよ」

 すかさずフォローを入れてくれるポーラの優しさが嬉しくて、ランナは心まで温まる。
 三人は入浴時も結婚指輪を外さない。いや、呪いで外せない。それでも今、この時間だけは呪いに支配されてないような気がする。
 体が裸になると心も素直に曝け出せる気になる。ランナは思い切って自分の思いと願いをモニカとポーラに伝える。

「あの、私、ヴァクト陛下の人格を『救う』方法はないかなって思うんです」

 三人の王妃は、三人格が殺し合っている事は知っている。そんな中でもランナだけは人格を殺す以外の解決法を模索している。
 聖女の能力で人格が殺せるなら、人格を救う事もできるのではないかと。ランナの魔法薬の調合の能力だって本来はそうありたい。