次の日の昼過ぎ。ヒルが仕事で自室を出たのを見計らって、ランナは厨房へと向かう。
今日はヒルの城の厨房を貸し切り、王妃三人でパン作りという名の親睦会を開く。
厨房に入ると、調理台の前にはすでにモニカとポーラの姿があった。この時点でランナは少し安心してしまう。
(よかった……モニカ様もポーラ姉さんも来てくれて)
さらにモニカとポーラは意外と晴れ晴れしい顔をしてランナを受け入れている。
「ランナさん。今日は素敵なお招きをありがとうございます。パン作りは初めてで楽しみですわ」
「ランナ、面白い事を考えたわね。生地からパンを作るなんて久しぶりで腕が鳴るわ」
ポーラの明るい笑顔は久しぶりでランナは嬉しくなるが、その瞳の色は今も漆黒。
本来のポーラの瞳の色はランナと同じ金色だが、呪いの指輪を着けてからは黒に変わった。ヨルの呪いの強さが見て分かる。
(姉さんの正気と瞳の色を取り戻したい)
容姿も性格も似ていない姉妹だが、金色の瞳という共通する色だけは呪いに汚されたくない。
三人はまず用意されていたエプロンをドレスの上から着用する。そして三人が互いの姿を見ると動きが同時に止まる。
三人が着用したのは、フリルが付いた白いメイド服のエプロンだった。これしかなかったらしい。
ランナはモニカのエプロン姿を見た瞬間に感嘆の声が出る。
「わぁ、モニカ様、可愛い……」
純白のドレスの上に純白のエプロン。美しい銀髪と白いフリルの花びらが重なって、ウェディングドレスにも負けないほどに華々しい。
こんなモニカの姿を見たらアサも惚れ惚れするに違いない。さらに恥ずかしそうに頬を染めるモニカの仕草も可愛らしい。
「お恥ずかしいですわ。ランナさんとポーラさんも似合ってますわよ」
そして今度はポーラに視線が集中する。黒薔薇のようなシックなドレスの上に白薔薇のようなエプロン。黒と白の色合いは妖艶なメイド服にも見える。
ランナはと言えば、モニカよりシンプルな白のドレス。その上に白のエプロンを着けても見栄えに変化はない。至って普通であった。
調理台の上には小麦粉、砂糖、塩などの材料がすでに並べられている。それらを見たランナは思いついた。
「そうだ! それぞれの陛下の好みに合わせたパンを作って食べてもらおうよ!」
アサ、ヒル、ヨルは食べ物の好みも違う。それぞれの好みに合わせたパンを手作りして食べてもらうというサプライズ企画になった。
「アサ様は白いパンがお好きなので、小麦粉と牛乳で作りますわ」
「ヨル様は黒いパンを召し上がるから、ライ麦粉と黒糖を入れるわ」
「ヒルくんは茶色いパンが好きだから、全粒粉とシリアルを加えて……うわ、健康的!」
生地作りの時点から個性が出ている。三人格のパンの好みは色も味もバラバラであった。
この時だけは人格の争いや呪いの事は忘れて、三人の王妃たちは和気藹々と楽しいパン作りの時間を過ごした。
しかしランナの提案によるパン作りが、後に運命を変えるほどの事態を引き起こす事になる。
今日はヒルの城の厨房を貸し切り、王妃三人でパン作りという名の親睦会を開く。
厨房に入ると、調理台の前にはすでにモニカとポーラの姿があった。この時点でランナは少し安心してしまう。
(よかった……モニカ様もポーラ姉さんも来てくれて)
さらにモニカとポーラは意外と晴れ晴れしい顔をしてランナを受け入れている。
「ランナさん。今日は素敵なお招きをありがとうございます。パン作りは初めてで楽しみですわ」
「ランナ、面白い事を考えたわね。生地からパンを作るなんて久しぶりで腕が鳴るわ」
ポーラの明るい笑顔は久しぶりでランナは嬉しくなるが、その瞳の色は今も漆黒。
本来のポーラの瞳の色はランナと同じ金色だが、呪いの指輪を着けてからは黒に変わった。ヨルの呪いの強さが見て分かる。
(姉さんの正気と瞳の色を取り戻したい)
容姿も性格も似ていない姉妹だが、金色の瞳という共通する色だけは呪いに汚されたくない。
三人はまず用意されていたエプロンをドレスの上から着用する。そして三人が互いの姿を見ると動きが同時に止まる。
三人が着用したのは、フリルが付いた白いメイド服のエプロンだった。これしかなかったらしい。
ランナはモニカのエプロン姿を見た瞬間に感嘆の声が出る。
「わぁ、モニカ様、可愛い……」
純白のドレスの上に純白のエプロン。美しい銀髪と白いフリルの花びらが重なって、ウェディングドレスにも負けないほどに華々しい。
こんなモニカの姿を見たらアサも惚れ惚れするに違いない。さらに恥ずかしそうに頬を染めるモニカの仕草も可愛らしい。
「お恥ずかしいですわ。ランナさんとポーラさんも似合ってますわよ」
そして今度はポーラに視線が集中する。黒薔薇のようなシックなドレスの上に白薔薇のようなエプロン。黒と白の色合いは妖艶なメイド服にも見える。
ランナはと言えば、モニカよりシンプルな白のドレス。その上に白のエプロンを着けても見栄えに変化はない。至って普通であった。
調理台の上には小麦粉、砂糖、塩などの材料がすでに並べられている。それらを見たランナは思いついた。
「そうだ! それぞれの陛下の好みに合わせたパンを作って食べてもらおうよ!」
アサ、ヒル、ヨルは食べ物の好みも違う。それぞれの好みに合わせたパンを手作りして食べてもらうというサプライズ企画になった。
「アサ様は白いパンがお好きなので、小麦粉と牛乳で作りますわ」
「ヨル様は黒いパンを召し上がるから、ライ麦粉と黒糖を入れるわ」
「ヒルくんは茶色いパンが好きだから、全粒粉とシリアルを加えて……うわ、健康的!」
生地作りの時点から個性が出ている。三人格のパンの好みは色も味もバラバラであった。
この時だけは人格の争いや呪いの事は忘れて、三人の王妃たちは和気藹々と楽しいパン作りの時間を過ごした。
しかしランナの提案によるパン作りが、後に運命を変えるほどの事態を引き起こす事になる。



