朝昼夜の三重人格な陛下と、第三王妃の聖女な薬師

 この際なので、アサに聞いてみる事にした。

「あの、そういえば、アサ様のご両親は今どちらに?」

 ランナのその質問を耳にすると同時にアサとモニカから笑顔が消えた。この反応で見当がついてしまう。

「両親はだいぶ前に亡くなっています。僕が王位に就いたのは6歳でした」

 ランナと同様、ヴァクト陛下も両親を亡くしていた。表情を曇らせたランナだったが、ある事に気付いた。

(アサ様が6歳の時? 私が3歳の時だから……父さんと母さんが失踪した頃だ)

 偶然とは思えなくて強い胸騒ぎがする。レッドリア国出身の両親と、ジョルノ国のヴァクト陛下には繋がりがある気がする。
 ヨルはランナの両親に会った事があると言っていた。ヒルは何も知らないらしいから仕方ない。

(アサ様とヨル様の記憶を繋げれば真実が見えてくるかも?)

 二人が真実を語るかどうかは分からない。それでも真実の先に三人格の争いを解決する方法も見つかるかもしれない。
 そう思い立ったランナは、急にテーブルに両手をつくと腰を上げて前のめりになる。

「アサ様! 私、アサ様と二人きりでお話がしたいです。もっとアサ様の事を知りたいんです!」
「いいですよ。では早速、行きましょう」
「え? 行く?」

 ランナとしては人払いをしてくれるだけでも、別の機会を設けてくれるだけでも良かった。
 アサも腰を上げると、隣のモニカに笑顔で告げる。

「デートに誘われたので、出かけてきます。モニカさん、お留守番は頼みました」
「はい、アサ様。行ってらっしゃいませ」

 その会話は冗談なのか、ランナがアサをデートに誘った流れになっている。
 呪いで倫理が崩壊しているモニカは、たとえアサがランナと本当にデートしようが何も感じない。
 ポーラに至ってはアサとランナが何をしようが全くの無関心。ポーラはヨルにしか興味がない。