朝昼夜の三重人格な陛下と、第三王妃の聖女な薬師

 それから数日後の朝。今朝もランナは一人で起床してドレスに着替える。
 あくびをしながらリビングに行くと、いつものようにメイドのカレンがランナを待って立っている。
 ランナはいつも思うが、カレンがいつ部屋に入って来たのか分からない。ランナが起きるまでずっと無表情でリビングで立っているのだろうか。
 そんなミステリアスな黒髪ボブの20歳のメイドは、今日も丁寧なお辞儀をして挨拶から始める。

「おはようございます。アサ様からお言付けがございます。大事な話があるので、朝の城まで来てほしいとの事です」
「大事な話? また朝食を一緒に、とかじゃなくて?」
「ポーラ様もお呼びするように言われておりますので、深刻な話かと思われます」

 三人の王妃が全員アサの元へと呼ばれた事になる。今は朝なのでモニカは朝の城から移動できない。必然的に朝の城に集まる事になる。
 そうしてカレンの案内で向かった先は朝の城の会議室だった。室内は白い長テーブルと椅子があるのみで、すでにアサとモニカが並んで着席していた。
 アサはランナの姿を見ると片手を差し出して正面の席に座るように促す。

「ランナさん、おはようございます。朝早くにすみません」

 ランナが着席すると、続いてポーラも会議室に入ってくる。同じようにアサに正面に座るように言われたのでランナの隣に座る。
 この白い部屋では、長い髪も瞳もドレスも全てが漆黒のポーラの色は際立つ。ランナが横目でポーラを見ると無表情で前を向いている。

(姉さんが隣に……なんだか気まずい)

 カレンはすでに退室したので、会議室にはアサと三人の王妃のみになった。よほど重要な話だと思われるが、良い内容なのか悪い内容なのか予想ができない。
 よく見るとアサの前には白い封筒が置かれている。アサはそれを手に持って正面のランナとポーラに掲げて見せる。

「この書状は今朝届きました。レッドリア国のファイア陛下からの正式な文書です」

 緊張して背筋を伸ばしていたランナは、ファイアの名を聞いて思わずアサの発言の途中で口を挟む。

「ファイア様、お元気でしょうか!? ご体調については書かれていましたか?」
「はい。病は全快して王位に復帰なさったとの事です」
「よかった……! わざわざ感謝状を下さるなんて律儀ですね!」

 ランナはようやく肩の力を抜く。話とはこの事だったのかと安堵の笑みが溢れるが、隣のポーラは微笑みもせずにアサに確認する。

「アサ様。それは感謝状ではないのでしょう?」
「はい。これは果たし状です。ファイア陛下からの宣戦布告です」
「え……?」

 まさかの事態に、ランナはその言葉の意味が理解できなかった。