紳士的な態度のアサから一変して、ヒルは揃えていた足を豪快に広げる。さらランナに向かって両腕を前に出して広げる。
「やっとオレの時間がきたぁ! あぁ、愛しのランナちゃん、会いたかったよ!」
その弾けるような眩しい笑顔も態度も口調も、穏やかで紳士なアサとは全く別人。完全に陽気なヒルになっている。
ヒルはランナしか眼中にない様子でいるが、この状況は疑問だらけでランナは口すら動かせない。代わりにヒルの隣のモニカが静かに口を開く。
「見ての通り、ヴァクト様は朝と昼と夜、一日に人格が三回変わるのですわ」
ますます状況が分からなくなったランナは、正面のモニカではなく横のポーラに顔を合わせる。
「えっと……それって、どういう事なの? 姉さん、分かる?」
「三重人格って事みたいね……」
ポーラも信じられない様子でいるが、自身の漆黒の指輪を見て確信した。ヨルは夜人格のヴァクトであると。
そんな姉妹の戸惑いを無視して、ヒルは立ち上がるとテーブルを越えてランナの横へと立つ。さらにランナの片腕を強引に掴み上げた。
「ランナ、行くぞ!」
「は、え……? どこへ!?」
「決まってんだろ、オレの部屋だ!」
これは、どう見ても『お誘い』だ。しかしランナはヒルよりも正面のモニカの方を見て困惑する。妻の目の前で他の女性を誘う行為は大胆すぎる。
しかし予想に反してモニカは全く動じないどころか冷えた目線でヒルを見ている。怒りという意味の冷たさではない。全く関心がない冷めた目だ。
12時になったと同時にモニカも人格が変わってしまったのだろうかと、ランナの中で次々と疑問が増えていく。
「あの、モニカ様、いいのですか……?」
「ええ。先ほど申し上げました通り、私は『朝の妻』ですわ」
その淡々とした口調で語られる衝撃の言葉から、状況は見えなくてもモニカの心は伝わる。
モニカは『朝のヴァクト』のみを愛している。文字通り『アサの妻』なのだと。さらにモニカの淑女らしい笑顔に乗せて衝撃の発言は続く。
「ランナさんは、ヒル様がお選びになった『昼の妻』。ポーラさんは、ヨル様がお選びになった『夜の妻』なのですわ」
ヴァクト陛下の三つの人格は、髪の色だけでなく性格も好みも全く違う。それは女性に対しても同じ。
昼に出会ったヒル・ヴァクトに金の指輪を贈られたランナ。
夜に出会ったヨル・ヴァクトに黒の指輪を贈られたポーラ。
二人はすでに王妃として王城に迎えられていた。
「やっとオレの時間がきたぁ! あぁ、愛しのランナちゃん、会いたかったよ!」
その弾けるような眩しい笑顔も態度も口調も、穏やかで紳士なアサとは全く別人。完全に陽気なヒルになっている。
ヒルはランナしか眼中にない様子でいるが、この状況は疑問だらけでランナは口すら動かせない。代わりにヒルの隣のモニカが静かに口を開く。
「見ての通り、ヴァクト様は朝と昼と夜、一日に人格が三回変わるのですわ」
ますます状況が分からなくなったランナは、正面のモニカではなく横のポーラに顔を合わせる。
「えっと……それって、どういう事なの? 姉さん、分かる?」
「三重人格って事みたいね……」
ポーラも信じられない様子でいるが、自身の漆黒の指輪を見て確信した。ヨルは夜人格のヴァクトであると。
そんな姉妹の戸惑いを無視して、ヒルは立ち上がるとテーブルを越えてランナの横へと立つ。さらにランナの片腕を強引に掴み上げた。
「ランナ、行くぞ!」
「は、え……? どこへ!?」
「決まってんだろ、オレの部屋だ!」
これは、どう見ても『お誘い』だ。しかしランナはヒルよりも正面のモニカの方を見て困惑する。妻の目の前で他の女性を誘う行為は大胆すぎる。
しかし予想に反してモニカは全く動じないどころか冷えた目線でヒルを見ている。怒りという意味の冷たさではない。全く関心がない冷めた目だ。
12時になったと同時にモニカも人格が変わってしまったのだろうかと、ランナの中で次々と疑問が増えていく。
「あの、モニカ様、いいのですか……?」
「ええ。先ほど申し上げました通り、私は『朝の妻』ですわ」
その淡々とした口調で語られる衝撃の言葉から、状況は見えなくてもモニカの心は伝わる。
モニカは『朝のヴァクト』のみを愛している。文字通り『アサの妻』なのだと。さらにモニカの淑女らしい笑顔に乗せて衝撃の発言は続く。
「ランナさんは、ヒル様がお選びになった『昼の妻』。ポーラさんは、ヨル様がお選びになった『夜の妻』なのですわ」
ヴァクト陛下の三つの人格は、髪の色だけでなく性格も好みも全く違う。それは女性に対しても同じ。
昼に出会ったヒル・ヴァクトに金の指輪を贈られたランナ。
夜に出会ったヨル・ヴァクトに黒の指輪を贈られたポーラ。
二人はすでに王妃として王城に迎えられていた。



