こんな辺境の街の薬師の元に、立て続けに貴族が三人も訪問してくるのは偶然とは思えない。おそらくこの男性も……そんな予想が頭をよぎる。
その予想に応えるかのように男性は再び一礼をしてから天使のような微笑みを姉妹に向ける。
「申し遅れました。僕の名前はアサ・ヴァクトです」
「アサ……ヴァクト様?」
ランナは呆然とその名を復唱する。これで『ヴァクト』を名乗る貴族の男は三人目。
三人のヴァクトは髪の色も性格も全く違うが、見た目の年齢は同じくらいで特徴的な赤い瞳は共通している。三人のヴァクトは兄弟かもしれない。
疑問を浮かべる姉妹の表情を見たアサからは笑顔が消えて、ため息をついた。
「残念ですよ。国王の名前をご存知ないなんて」
そう言いながら、アサは数歩下がって玄関の外に出た。すると入れ替わるようにして次々と武装した兵士が家の中へと入ってきた。
身構える間もなく、ランナとポーラは兵士によって拘束されて家の外へと連れ出される。急に視界に飛び込んできた朝日で目が眩むほどに一瞬の出来事だった。
家の外にはアサが乗ってきた馬車が停車していて、その周囲には10騎ほどの騎兵が控えている。
兵士に挟まれて両腕を掴まれているランナは、自由の利かない身で正面に立っているアサに向かって叫ぶ。
「アサ様、あなたは一体!? 私たちをどうするの!?」
アサはまるで見物客のように腕を組んで涼しい顔をして微笑んでいる。
「僕はジョルノ国王ヴァクトです。あなたたち姉妹を逮捕・連行します」
「なんで……私たちが何をしたっていうの!?」
「僕を殺そうとした罪です」
アサが何を言っているのか分からない。確かにこの国、ジョルノ国の王の名はヴァクトという名前だと聞いた。
もし、それが真実で目の前の男が国王だとしても、ランナとポーラには立たされている状況と真実が見えてこない。
だが、この時のランナとポーラは最も驚くべき真実を知らなかった。
朝に出会った紳士なヴァクト、昼に出会った陽気なヴァクト、夜に出会った冷酷なヴァクト。
銀髪のアサ、金髪のヒル、黒髪のヨル。赤い瞳を持つ三人のヴァクトは全て『同一人物』であるという事実に。
その予想に応えるかのように男性は再び一礼をしてから天使のような微笑みを姉妹に向ける。
「申し遅れました。僕の名前はアサ・ヴァクトです」
「アサ……ヴァクト様?」
ランナは呆然とその名を復唱する。これで『ヴァクト』を名乗る貴族の男は三人目。
三人のヴァクトは髪の色も性格も全く違うが、見た目の年齢は同じくらいで特徴的な赤い瞳は共通している。三人のヴァクトは兄弟かもしれない。
疑問を浮かべる姉妹の表情を見たアサからは笑顔が消えて、ため息をついた。
「残念ですよ。国王の名前をご存知ないなんて」
そう言いながら、アサは数歩下がって玄関の外に出た。すると入れ替わるようにして次々と武装した兵士が家の中へと入ってきた。
身構える間もなく、ランナとポーラは兵士によって拘束されて家の外へと連れ出される。急に視界に飛び込んできた朝日で目が眩むほどに一瞬の出来事だった。
家の外にはアサが乗ってきた馬車が停車していて、その周囲には10騎ほどの騎兵が控えている。
兵士に挟まれて両腕を掴まれているランナは、自由の利かない身で正面に立っているアサに向かって叫ぶ。
「アサ様、あなたは一体!? 私たちをどうするの!?」
アサはまるで見物客のように腕を組んで涼しい顔をして微笑んでいる。
「僕はジョルノ国王ヴァクトです。あなたたち姉妹を逮捕・連行します」
「なんで……私たちが何をしたっていうの!?」
「僕を殺そうとした罪です」
アサが何を言っているのか分からない。確かにこの国、ジョルノ国の王の名はヴァクトという名前だと聞いた。
もし、それが真実で目の前の男が国王だとしても、ランナとポーラには立たされている状況と真実が見えてこない。
だが、この時のランナとポーラは最も驚くべき真実を知らなかった。
朝に出会った紳士なヴァクト、昼に出会った陽気なヴァクト、夜に出会った冷酷なヴァクト。
銀髪のアサ、金髪のヒル、黒髪のヨル。赤い瞳を持つ三人のヴァクトは全て『同一人物』であるという事実に。



