それから約束の3日後、リィラはいつもの紫の花畑の前でセンティが来るのを待っていた。
センティが来たら今日こそ一緒に里を出ようと思った。不安や罪悪感よりも、期待と喜びが勝るリィラの胸は高鳴っていた。
その時、風に乗って運ばれた何かの香りが鼻を刺激した。嗅ぎ慣れた毒花の香りではない。
(……何の匂い……?)
心地よい香りとは言えない。不穏な気配を感じたリィラは森の入り口に近付くと立ち止まり、耳を澄ましてみる。
普段なら虫の音ひとつ聞こえない森の奥から、獣の声と衝突音が微かに鼓膜に響いた。
(魔物の声と……血の匂い!?)
リィラは咄嗟に駆け出すと、そのまま森の中へと足を踏み入れる。全力で走りながら、その音と匂いを感じる方へと本能のままに進んでいく。
何本かの木々を通り抜け、生い茂る草を掻き分けると少し開けた場所に出た。そこで目にした光景に息を呑む。
巨大な魔物と対峙したセンティが長剣を構え、今まさに決着を付けようとしている瞬間であった。
センティは振り返ると背後のリィラに向かって叫ぶ。
「リィラちゃん!? 来ちゃダメだ!!」
センティの纏う白いマントは自身の血の色に染まり、額からも血を流している。
すでに彼は致命傷を負っているのかもしれない。二本の足で立つ熊のような漆黒の毛並みの肉食獣は、その牙でセンティに食らいつこうとしていた。
「センティ……っ!!」
センティの制止も聞かず駆け出したリィラは、センティの前に回り込んで魔物の前に立ちふさがった。
「さぁ、私に食らいついて!!」
気丈にもリィラは、魔物の前で両手を広げてセンティを庇う体勢になった。
リィラの体内には毒がある。少しでも噛み付けば魔物は毒に侵されて拒絶反応を起こす。これで少なくともセンティだけは守れるはずだった。
センティが来たら今日こそ一緒に里を出ようと思った。不安や罪悪感よりも、期待と喜びが勝るリィラの胸は高鳴っていた。
その時、風に乗って運ばれた何かの香りが鼻を刺激した。嗅ぎ慣れた毒花の香りではない。
(……何の匂い……?)
心地よい香りとは言えない。不穏な気配を感じたリィラは森の入り口に近付くと立ち止まり、耳を澄ましてみる。
普段なら虫の音ひとつ聞こえない森の奥から、獣の声と衝突音が微かに鼓膜に響いた。
(魔物の声と……血の匂い!?)
リィラは咄嗟に駆け出すと、そのまま森の中へと足を踏み入れる。全力で走りながら、その音と匂いを感じる方へと本能のままに進んでいく。
何本かの木々を通り抜け、生い茂る草を掻き分けると少し開けた場所に出た。そこで目にした光景に息を呑む。
巨大な魔物と対峙したセンティが長剣を構え、今まさに決着を付けようとしている瞬間であった。
センティは振り返ると背後のリィラに向かって叫ぶ。
「リィラちゃん!? 来ちゃダメだ!!」
センティの纏う白いマントは自身の血の色に染まり、額からも血を流している。
すでに彼は致命傷を負っているのかもしれない。二本の足で立つ熊のような漆黒の毛並みの肉食獣は、その牙でセンティに食らいつこうとしていた。
「センティ……っ!!」
センティの制止も聞かず駆け出したリィラは、センティの前に回り込んで魔物の前に立ちふさがった。
「さぁ、私に食らいついて!!」
気丈にもリィラは、魔物の前で両手を広げてセンティを庇う体勢になった。
リィラの体内には毒がある。少しでも噛み付けば魔物は毒に侵されて拒絶反応を起こす。これで少なくともセンティだけは守れるはずだった。



