その後、センティは何度も一人でポワゾンを訪れてきた。
毒の花粉が飛ぶ里に彼を長居はさせられないので、花畑の前で少しだけ言葉を交わすだけであった。
「王子様……なんで来るの? ここは有害なのに」
「通り道だから、ついでにリィラちゃんの顔を見たいなって」
嘘も偽りもない晴天のような笑顔で、いつもセンティは他愛もない話をして帰っていく。
……いや。センティは嘘をついている。ここは通り道なんかではない。ポワゾンは存在が都市伝説化されるほどに辺境の地にある。
そして、この里を荒らさない配慮なのか、他人を巻き込まないためか、センティはいつも一人で訪れる。
「……センティって、変な王子様。ふふ……」
「あ、名前で呼んでくれたね。それに笑ってくれた。嬉しいな」
ずっと一人で生きているリィラには、センティと話していると胸が熱くなるこの感情が何なのか分からない。
いつしかセンティが会いに来てくれる事を楽しみに待つようになっていた。
毒を持つリィラは、センティと触れ合う事はできない。触れるだけでも、手を繋ぐだけでも彼を毒に侵しそうで怖い。
それでもセンティと会える僅かな時間だけでも幸せだと感じた。そして、それは彼も同じだったのだろう。
「ねぇ、リィラちゃん。アディール王国に来ない?」
「……え?」
今日も紫の花畑の前で語らっていると、センティが突然の提案を持ちかけてきた。
リィラは驚いてアメジストの瞳を見開いて彼を見上げたが、すぐに目を伏せた。
「出られない。私は毒の体だから人に害を及ぼす。だから最後までこの里にいる」
リィラはポワゾンの最後の生き残りとして、この里で一人で命を終える覚悟をしていた。
毒の花粉が飛ぶ里に彼を長居はさせられないので、花畑の前で少しだけ言葉を交わすだけであった。
「王子様……なんで来るの? ここは有害なのに」
「通り道だから、ついでにリィラちゃんの顔を見たいなって」
嘘も偽りもない晴天のような笑顔で、いつもセンティは他愛もない話をして帰っていく。
……いや。センティは嘘をついている。ここは通り道なんかではない。ポワゾンは存在が都市伝説化されるほどに辺境の地にある。
そして、この里を荒らさない配慮なのか、他人を巻き込まないためか、センティはいつも一人で訪れる。
「……センティって、変な王子様。ふふ……」
「あ、名前で呼んでくれたね。それに笑ってくれた。嬉しいな」
ずっと一人で生きているリィラには、センティと話していると胸が熱くなるこの感情が何なのか分からない。
いつしかセンティが会いに来てくれる事を楽しみに待つようになっていた。
毒を持つリィラは、センティと触れ合う事はできない。触れるだけでも、手を繋ぐだけでも彼を毒に侵しそうで怖い。
それでもセンティと会える僅かな時間だけでも幸せだと感じた。そして、それは彼も同じだったのだろう。
「ねぇ、リィラちゃん。アディール王国に来ない?」
「……え?」
今日も紫の花畑の前で語らっていると、センティが突然の提案を持ちかけてきた。
リィラは驚いてアメジストの瞳を見開いて彼を見上げたが、すぐに目を伏せた。
「出られない。私は毒の体だから人に害を及ぼす。だから最後までこの里にいる」
リィラはポワゾンの最後の生き残りとして、この里で一人で命を終える覚悟をしていた。



