そこは国ではなく、街でもない。人里離れた森の中に奇妙な『里』があるという。
なぜ奇妙なのか、それはその色。木々を飾る葉も、野に咲く花々も、全てが『紫』一色で埋め尽くされていた。
この地に生える植物は全て毒性を持つために、人も魔物も近寄らない。
ここは、都市伝説のように存在が噂されるだけの不確かな場所、毒の里『ポワゾン』。
その里の住民は、たった一人。毒の花と同じ色である紫の髪と瞳を持つ娘『リィラ』だけであった。
その日、里を出たリィラは近くの森の中で木の実を拾っていた。片手に小さな籠を持ち、足元だけを見ながら歩いている。
昼間なのに森の中は静かで、動物の鳴き声はおろか虫の音さえ聞こえない。それは全ての生物がリィラを避けているからであった。
その時、近くの木々が騒がしい音を立てて揺れ動いた。
(近くに……誰かいる?)
リィラが顔を上げて前方の木に目線を合わせた瞬間に、木々の間から何者かが勢いよく飛び出してきた。
「わぁっ!!」
「きゃあっ!?」
全力で森の中を駆けて来た男性がリィラと正面衝突した。男性の勢いに弾き飛ばされたリィラは地面に尻餅をついた。
「あっ、ごめん、大丈夫!?」
男性は息を切らしながら片手を伸ばして、地面に座ったままのリィラを立たせようとする。
リィラが見上げて目を合わせると、相手は20歳くらいの若い青年であった。銀色の髪と美しいブルーの瞳に目を奪われる。
息を呑むほどに秀麗な顔立ちの青年は白いマントに全身を包んでいて、その上質な布地と装飾から高貴な身分だと推測できる。
なぜ奇妙なのか、それはその色。木々を飾る葉も、野に咲く花々も、全てが『紫』一色で埋め尽くされていた。
この地に生える植物は全て毒性を持つために、人も魔物も近寄らない。
ここは、都市伝説のように存在が噂されるだけの不確かな場所、毒の里『ポワゾン』。
その里の住民は、たった一人。毒の花と同じ色である紫の髪と瞳を持つ娘『リィラ』だけであった。
その日、里を出たリィラは近くの森の中で木の実を拾っていた。片手に小さな籠を持ち、足元だけを見ながら歩いている。
昼間なのに森の中は静かで、動物の鳴き声はおろか虫の音さえ聞こえない。それは全ての生物がリィラを避けているからであった。
その時、近くの木々が騒がしい音を立てて揺れ動いた。
(近くに……誰かいる?)
リィラが顔を上げて前方の木に目線を合わせた瞬間に、木々の間から何者かが勢いよく飛び出してきた。
「わぁっ!!」
「きゃあっ!?」
全力で森の中を駆けて来た男性がリィラと正面衝突した。男性の勢いに弾き飛ばされたリィラは地面に尻餅をついた。
「あっ、ごめん、大丈夫!?」
男性は息を切らしながら片手を伸ばして、地面に座ったままのリィラを立たせようとする。
リィラが見上げて目を合わせると、相手は20歳くらいの若い青年であった。銀色の髪と美しいブルーの瞳に目を奪われる。
息を呑むほどに秀麗な顔立ちの青年は白いマントに全身を包んでいて、その上質な布地と装飾から高貴な身分だと推測できる。



