忘れもしないウィリアム国とは、前世の頃にカイン王子が生きていた国だ。前世でカインを殺めてしまった罪悪感に再び襲われたエリーゼは顔をしかめる。
そんなエリーゼの険しい表情を見たアゼルは、また何か勘違いをしている。
「ふむ、ウィリアム国を攻めるのか。強国だが落としがいがありそうだ。さすがは愛するエリーゼ。今夜も抱いてやるぞ、嬉しいだろう」
「う、嬉しくなんか、ないんだから……」
「本当は?」
(ぐぅぅ……誰が『嬉しい』なんて言ってやるもんですか……!)
なぜ、この流れで夜の話を付け加えるのか意味が分からない。
とりあえずセイクリッド国から目をそらす事には成功したが、今度はウィリアム国が攻撃対象にされてしまう。
しかしこの反応からすると、おそらくアゼルは前世でのカインを覚えていない。アゼルにとってカインは前世で戦った数多くの敵の中の一人でしかなく、名前も顔も記憶に残るほどではなかった。
「アーサーよ。ウィリアム国ならば、どう攻略するか?」
アゼルが再び問いかけると、アーサーは顎に片手の指を添えて真剣に地図を見つめている。
このアーサーという軍隊長は根っからの軍人らしく、アゼルとエリーゼの夫婦漫才を見ても全く無反応であった。良く言えば冷静沈着、悪く言えば無関心。
「ウィリアム国の軍事力も恐れるに足りません。ただ、カイン王子が剣術の手練れと聞きます。彼さえ討てば支配したも同然でしょう」
「カイン王子ですって!?」
カインの名を聞いたエリーゼは、思わずテーブルに両手を突いて立ち上がった。隣のアゼルは腕を組んだままエリーゼを見上げる。
「なんだエリーゼ、カイン王子と知り合いか?」
しかしエリーゼにはアゼルの問いかけが聞こえていない。
考えてみれば、アゼルもエリーゼも前世と同じ名前で現世に転生している。カインも転生したのか、同名の子孫なのかは分からない。だがエリーゼは、カインの存在に現状を打破する希望の光が見えた……気がした。
「アゼル。世界征服って要は世界を支配できればいいんでしょう?」
「まぁ、そうだな」
「なら、力で支配する必要はないと思うの」
「つまり、どうすると言うんだ?」
エリーゼは聖女らしく、市民を巻き込む戦争での侵略を望まない。前世のように人々が血を流す戦場は見たくない。
そんなエリーゼの険しい表情を見たアゼルは、また何か勘違いをしている。
「ふむ、ウィリアム国を攻めるのか。強国だが落としがいがありそうだ。さすがは愛するエリーゼ。今夜も抱いてやるぞ、嬉しいだろう」
「う、嬉しくなんか、ないんだから……」
「本当は?」
(ぐぅぅ……誰が『嬉しい』なんて言ってやるもんですか……!)
なぜ、この流れで夜の話を付け加えるのか意味が分からない。
とりあえずセイクリッド国から目をそらす事には成功したが、今度はウィリアム国が攻撃対象にされてしまう。
しかしこの反応からすると、おそらくアゼルは前世でのカインを覚えていない。アゼルにとってカインは前世で戦った数多くの敵の中の一人でしかなく、名前も顔も記憶に残るほどではなかった。
「アーサーよ。ウィリアム国ならば、どう攻略するか?」
アゼルが再び問いかけると、アーサーは顎に片手の指を添えて真剣に地図を見つめている。
このアーサーという軍隊長は根っからの軍人らしく、アゼルとエリーゼの夫婦漫才を見ても全く無反応であった。良く言えば冷静沈着、悪く言えば無関心。
「ウィリアム国の軍事力も恐れるに足りません。ただ、カイン王子が剣術の手練れと聞きます。彼さえ討てば支配したも同然でしょう」
「カイン王子ですって!?」
カインの名を聞いたエリーゼは、思わずテーブルに両手を突いて立ち上がった。隣のアゼルは腕を組んだままエリーゼを見上げる。
「なんだエリーゼ、カイン王子と知り合いか?」
しかしエリーゼにはアゼルの問いかけが聞こえていない。
考えてみれば、アゼルもエリーゼも前世と同じ名前で現世に転生している。カインも転生したのか、同名の子孫なのかは分からない。だがエリーゼは、カインの存在に現状を打破する希望の光が見えた……気がした。
「アゼル。世界征服って要は世界を支配できればいいんでしょう?」
「まぁ、そうだな」
「なら、力で支配する必要はないと思うの」
「つまり、どうすると言うんだ?」
エリーゼは聖女らしく、市民を巻き込む戦争での侵略を望まない。前世のように人々が血を流す戦場は見たくない。



