海の底できみを探す


先輩の目線が、私を捉える。

そのことに満足して、私はもう一度、今度は図書室に礼をし、からりと扉を閉める。
図書室を静かに出る。

今日は、これでいい。今のところは。


間宮(まみや) 海智(かいち)

それがこの、美しい先輩の名前だ。










「……」

「おはようございます、先輩。鍵、ありがとうございます」

「別に」

「じゃ、お願いします」



毎週水曜日。
朝、昼休み、放課後。

図書室の担当は私と先輩だ。


水曜日の朝。
図書室に行くと、もうすでにいて本を読んでいた先輩に驚いた。

え、私も結構早くに来たんだけどな。

朝のHR(ホームルーム)が始まる1時間前に図書室を開けなきゃいけないから、1時間30分前にはもうすでに学校にいるように来た。

先輩よりも早く来れたかなって気がしていたんだけど。


私も本を選び、カウンターの席に着く。

パラパラという音が図書室に馴染む。



「……先輩」

「……」

「聞いてもいいですか?」



本を読んでる途中に声をかけるのって迷惑だと思うものの、声をかける。