聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。

  



 リディアはアルシェにその話をした。

 アルシェは少し間を置いてから言った。


「余計なことを言う男だ」

「でも否定しないのですね」

「……しない」


 リディアは笑った。アルシェも、口の端をわずかに上げた。

 力のない指先で紡いだ糸が、確かに誰かと結ばれている。

 リディアには、それで十分だった。