アルシェに声をかけると、彼は自分の作業台から立ち上がり、リディアの元へ歩いてきた。布を手に取り、窓の光にかざした。
しばらく、黙っていた。
「……閣下」
「綺麗だ」
短い言葉だった。だがアルシェがそういう言葉を使うのをリディアは聞いたことがなかった。実用的か否か、正確か否か、そういう言葉を使う人だった。綺麗、という言葉を、こんなに素直に口にする人だとは思っていなかった。
リディアの頬が、じわりと熱くなった。
「ありがとうございます」
「あなたの手が作ったものだ」
アルシェは布から目を離し、リディアを見た。



