リディアは気づかないふりをして、王妃への挨拶を済ませ、用意された席に着いた。隣はユヴァン公爵家の令嬢、エレナだった。エレナとは幼い頃から顔見知りで、悪意のない人物だとリディアは知っていた。
「リディア様、最近ネティヤ邸に通っていらっしゃるとか」
エレナは小声で言った。その声には純粋な好奇心があった。
「公爵閣下と、仲良くなられたのですか」
「研究のお手伝いをしているだけです」
「まあ」
エレナの目が丸くなった。
「でもあの公爵閣下が人を邸に招くなんて、珍しいことですわ。令嬢を招いたなんて、初めて聞きました」
リディアは曖昧に微笑んで、紅茶に口をつけた。



