王宮の茶会は、年に二度開かれる。
三大公爵家をはじめとする貴族の子女が一堂に会し、国王夫妻への挨拶と社交を兼ねた催しだ。リディアにとっては毎年憂鬱な行事だった。聖女の力を持たないリディアは、同じ年頃の令嬢たちの中で常に浮いた存在だった。愛想よく話しかけてくる者も、その目の奥には好奇心や哀れみや、時には侮蔑が混じっていた。
だが今年は、少し違う緊張があった。
アルシェも来る。
それだけで、リディアの心臓は朝から落ち着かなかった。工房での時間とは違う。あちらは二人きりだ。こちらは人の目がある。アルシェとリディアが顔を合わせれば、社交界の人間はすぐに何かを嗅ぎつける。
案の定、茶会が始まって間もなく、視線を感じた。
扇の陰からの囁きも。



