聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。





 三度目の失敗をした日、リディアは思わず小さく息をついた。


「うまくいかないか」


 アルシェの声が背後からした。いつの間にか作業台の後ろに立っていた。


「……三度目です」


 リディアは解きかけの布を見下ろした。


「糸の撚り方は合っているはずなのに、織り上げると文様が出ない」

「見せろ」


 アルシェがリディアの隣に立ち、布の切れ端を手に取った。窓の光にかざして、角度を変えながら確認する。その横顔は真剣で、リディアは少し居心地が悪くなった。近い、と思った。肩が触れそうなほどの距離だ。


「糸の撚り方より、織り方の密度だと思う」


 アルシェは布を返しながら言った。