「桜花……?」
皐月の声に顔を上げると、渡り廊下に桜花ちゃんの姿があった。
女子四人に囲まれ、困ったような表情を浮かべている。
「あれ、上級生じゃない?」
桜花ちゃんと話している女子たちは、上履きの色が赤色で、上級生の三年生だった。
僕と皐月は、慌てて桜花ちゃんの元へ向かう。
するとちょうど話が終わったのか、上級生の女子たちも姿を消していた。
「桜花!」
「桜花ちゃん」
僕たちに気が付いた桜花ちゃんは、のほほんと手を挙げる。
「兄さんに天音さん、こんにちは」
「こんにちはじゃねえだろ。大丈夫か? 上級生になに言われた?」
「え? ああ、なんてことはないですよ? ただ、スキンケアなに使ってるの? とか美容院はどこに行ってるの? とかそういうことを訊かれただけです」
桜花ちゃんの言葉に、僕と皐月はほっと胸をなでおろす。
「なんだよ、そんなことかよ」
「桜花ちゃんは、美人さんだからね」
桜花ちゃんは学校でも有名な美少女で、男女問わず憧れの的になっている。
「二人とも、私がいじめられているのではないかと思って、慌ててきたのですか?」
「そりゃそうだろ」
「ちょっとだけね」
「兄さんならともかく、天音さんも意外と過保護なのですね」
桜花ちゃんは嬉しそうにくすくすと笑う。
そんなのほほんとした桜花ちゃんを見て、僕は改めて早く手紙の意味を解明しないとな、と思った。
それに桜花ちゃんよりも、皐月の胃が先に限界を迎えそうだからね。



