「うーん、いい天気だなぁ」
美術室を飛び出して中庭に出た僕は、大きく伸びをした。
今日の四限目の授業は美術で、校内にあるものだったらなにを描いてもいいことになっていた。
もちろん他クラスも授業中だから、それを邪魔しない程度の範囲で。
なにを描こうかなぁ、と僕は中庭をうろうろする。
結局手紙の謎はまったくわからないまま、四限目を向かえてしまった。
あれから休み時間の度、皐月と一緒に考えてみたけれど、首を傾げるばかりだった。
中庭にある花壇にやってきた僕は、適当に腰をおろして、目の前で元気に咲き誇るオレンジ色の花を描くことにする。
僕は絵を描くことだけは得意だ。他の教科の成績は普通だけど、美術だけには自信があった。
オレンジ色の花を観察しながら、僕は鉛筆を動かす。
するとクラスメイトの女子たちが通りかかる。
「わ、マリーゴールドきれいに咲いてるね!」
「本当だ! 私、これ描こうかなぁ」
「そういえば知ってる? マリーゴールドの花言葉」
「知ってるよー! 色によって意味が違うんだよね?」
「なあんだ、知ってたのかぁ~」
なんて雑談をしながら、クラスメイトの女子たちは通りすぎて行った。
「これ、マリーゴールドって花なのか。色によって、花言葉が違うんだな」
どこかのアーティストさんが歌にしていた花は、このオレンジ色の花だろうか。それとも違う色の花なのだろうか。
よく見るとオレンジ色の花々に埋もれて、『マリーゴールド』と書かれたピックが刺さっていた。
花、と聞いて、僕は今朝の桜花ちゃんへの手紙に描かれていた赤と白の花を思い出す。
そういえば手紙にも、花が描かれていた。
あれはなんの花なのだろう? もしかしてその花にも、花言葉があるのだろうか?
そんなことを考えていると、ドサッと音を立てて、僕の隣に腰を下ろす人影があった。



