「お断りしました」
「そうか」
「そっか」
皐月がほっと胸をなでおろす横で、何故か僕もほっとしていた。
「私は彼を知りませんでしたし、しかし、想いを込めて私に手紙を出してくれたのだとも思いましたから、ちゃんと考えたうえで、誠実にお答えしたつもりです」
そういうところ、やっぱり桜花ちゃんはしっかりしてるなぁ、と思う。
「それに、兄さんのことを話したら、少し嫌そうな顔をしたので」
「あ? やっぱあいつしめるか?」
「まぁまぁ」
「兄さんは少し過保護すぎるところもありますが、やはり家族をよく思ってくれる人じゃないと嫌なので」
桜花ちゃんの言葉に、皐月が見たこともないくらい照れたような表情を浮かべていた。
よかったな、皐月。きみのシスコンは一方通行じゃなくて。
そう思っていると、桜花ちゃんが爆弾発言を投下した。
「それに私、気になる人がいるので」
「は!?」
「えっ」
僕と皐月は目を丸くして、それから桜花ちゃんに詰め寄る。
「誰だ!? そいつ! 桜花のクラスのやつか!?」
「ちょっとだけ気になるな~なんて」
僕と皐月の様子に、桜花ちゃんはくすくすと笑う。
そうして人差し指を口元にあてると言った。
「秘密、です」
その言葉と一緒に、微笑みかけられた僕の心臓が、走ったときみたいにドキドキし出したのは、言うまでもなかった。
終わり



