僕と皐月が花壇に到着すると、ちょうど桜花ちゃんと手紙の送り主かな、眼鏡をかけた優しそうな男の子が向かい合っていた。
「あいつか、桜花にラブレターなんて送ってきやがったやつは」
皐月が今にも二人の前に飛び出しそうだったので、僕はその腕をひっつかんで、花壇の見える茂みから様子をうかがうことにした。
「なに話してるか聞こえねえな」
「そうだね……」
眼鏡の男の子は、身振り手振りを交えながら、なにかを桜花ちゃんに伝えているみたいだ。
なにかもなにも、きっと愛の告白だろうと思うけど……。
「あんなに情熱的な手紙を送ってきたんだ。きっと桜花ちゃんのこと相当好きなんだろうね」
花言葉を使って、自分の好きを伝えた彼に、僕は素直にすごいな、と感心してしまう。
きっと花言葉だって、一つあれば想いは伝わったはずなのに。
「まわりくどいにも程があるけどな」
皐月は相変わらず怒ったような口調だったけれど、きっとなんだかんだ言って、桜花ちゃんの決断に文句を言うことはないだろう。
少しして、話は終わったのか二人が正反対の方向に歩き出した。
茂みに隠れていたはずだけれど、桜花ちゃんはこちらにまっすぐ歩いて来た。
「兄さん、天音さん。バレバレですよ」
あはは、と苦笑しながら、僕と皐月は桜花ちゃんの前にやってくる。
「で?」
皐月がぶっきらぼうに訊く。
「どう返事したんだよ」
僕も皐月と同じように桜花ちゃんの言葉を静かに待った。
すると桜花ちゃんは表情一つ変えずに、たんたんと言った。



