放課後。
僕は皐月と桜花ちゃんを誘って、図書室に来ていた。
「天音、なにかわかったのか?」
「あ、いや、はっきりとはまだなんだけど、少し調べたいことがあって」
僕は図書室の奥の方にある、図鑑のコーナーへとやってくる。
そうして手にしたのは、もちろん植物図鑑だ。
「植物図鑑?」
首を傾げる桜花ちゃんに説明しようとしたら、皐月が先に口を開いた。
「今朝の手紙に、赤い花と白い花が描かれてただろ? あれの花の名前がわかったんだ」
「赤い花がベゴニア、白い花がアナベルっていうんだって」
「ベゴニア、アナベル……」と小さくつぶやいた桜花ちゃんは、僕に身を寄せて図鑑をのぞきこむ。
あまりの近さにドキッとしながらも、僕はまず、ベゴニアについて調べることにする。
「ベゴニア、ベゴニア……、あった!」
ベゴニアのページを開くと、真っ赤な花の写真が載っていた。
さっき中庭の花壇で見つけたものと同じ花だ。そして手紙に描かれた花とも同じ。
「ベゴニアは、シュウカイドウ科ベゴニア属に属する植物で、雄花は4枚、雌花は5枚の花びらを持つのが特徴……」
それらの特徴はきっと関係なくて、僕は最後に書かれた文章に注目する。
ベゴニアの花言葉は、『片想い・愛の告白・幸福な日々』。
クラスメイトの女子が、美術の時間に話していた。
花にはそれぞれ、花言葉がある。
もしかしたらなにか、花言葉が関係するのではないかと思ったのだ。
「もしかして……」
と皐月がつぶやいたけれど、僕は気にせず、続けてアナベルのページを開く。



