春。
制服を脱いだあとって、思ったより何も変わらなかった。
駅のホームも。
体育館の匂いも。
ボールの跳ねる音も。
ただ、少しだけ遠くなった。
ゆなは地元の大学に進学した。
スポーツ系の学部ではない。
それでも、バスケットボールから離れる選択はできなかった。
女子バスケットボール部のマネージャー。
それは、今も続いている。
ただ違うのは、“見ているチーム”が変わったことだった。
神代高校男子バスケ部。
あの代はもういない。
でも、名前だけはまだ残っている。
しょうへいは大学でバスケを続けていた。
派手ではない大学。
でも、ちゃんとコートに立っている。
相変わらずだった。
全部を背負おうとする癖は、まだ少し残っていた。
「お前、それ高校のときから変わってねぇな」
そう言われて、少し笑うだけ。
るきは、別の大学へ進んだ。
プレーは続けていない。
でも、バスケから離れたわけじゃなかった。
試合を“見る側”に回った。
データを見て、動きを整理して、考える側。
「そっちの方が向いてる」
誰かがそう言ったらしい。
本人は否定もしなかった。
りゅうとは強豪大学へ進んだ。
エースとしてではなく、ローテーションの一人として。
それでも点は取る。
派手じゃない試合でも、ちゃんと仕事をする。
りょうは、変わらず安定していた。
むしろ大学で評価が上がるタイプだった。
「いなくならない選手」
それが一番の武器だった。
らいは、守備専門としてチームを支えていた。
名前はあまり出ない。
でも、負けないチームには必ずいるタイプ。
たけるは、最後まで残った。
派手じゃない。
でも、誰よりも練習している。
「まだ足りない」
それをずっと言っている。
ゆなは思う。
あの代は、バラバラになってもバスケを続けている。
形は違う。
でも、全部続いている。
ある日。
しょうへいから連絡が来た。
「試合、見に来るか」
短いメッセージ。
ゆなは少し迷ってから、行くと返した。
大学リーグの試合。
観客席から見るしょうへいは、少しだけ大人になっていた。
でも、やっぱり変わっていなかった。
ボールを持つと、空気が変わる。
「来たな」
あのときと同じ感じ。
試合後。
体育館の外。
しょうへいが言う。
「なんかさ」
「まだ続いてる気がするんだよな」
ゆなは少し笑う。
「続いてるよ」
しょうへいは空を見上げる。
「でも、あのときとは違うだろ」
ゆなは少し黙る。
そして言う。
「違うけど、同じ」
しょうへいは笑う。
「意味わかんねぇな」
ゆなも笑う。
でも、それでよかった。
るきは少し離れた場所で試合を見ていた。
「数字、悪くなかったな」
そう呟く。
もうプレイヤーじゃない目だった。
でも、一番厳しい目だった。
ゆなは思う。
あの88-82から始まったものは、まだ終わっていない。
形を変えただけ。
続いている。
ずっと。
制服を脱いだあとって、思ったより何も変わらなかった。
駅のホームも。
体育館の匂いも。
ボールの跳ねる音も。
ただ、少しだけ遠くなった。
ゆなは地元の大学に進学した。
スポーツ系の学部ではない。
それでも、バスケットボールから離れる選択はできなかった。
女子バスケットボール部のマネージャー。
それは、今も続いている。
ただ違うのは、“見ているチーム”が変わったことだった。
神代高校男子バスケ部。
あの代はもういない。
でも、名前だけはまだ残っている。
しょうへいは大学でバスケを続けていた。
派手ではない大学。
でも、ちゃんとコートに立っている。
相変わらずだった。
全部を背負おうとする癖は、まだ少し残っていた。
「お前、それ高校のときから変わってねぇな」
そう言われて、少し笑うだけ。
るきは、別の大学へ進んだ。
プレーは続けていない。
でも、バスケから離れたわけじゃなかった。
試合を“見る側”に回った。
データを見て、動きを整理して、考える側。
「そっちの方が向いてる」
誰かがそう言ったらしい。
本人は否定もしなかった。
りゅうとは強豪大学へ進んだ。
エースとしてではなく、ローテーションの一人として。
それでも点は取る。
派手じゃない試合でも、ちゃんと仕事をする。
りょうは、変わらず安定していた。
むしろ大学で評価が上がるタイプだった。
「いなくならない選手」
それが一番の武器だった。
らいは、守備専門としてチームを支えていた。
名前はあまり出ない。
でも、負けないチームには必ずいるタイプ。
たけるは、最後まで残った。
派手じゃない。
でも、誰よりも練習している。
「まだ足りない」
それをずっと言っている。
ゆなは思う。
あの代は、バラバラになってもバスケを続けている。
形は違う。
でも、全部続いている。
ある日。
しょうへいから連絡が来た。
「試合、見に来るか」
短いメッセージ。
ゆなは少し迷ってから、行くと返した。
大学リーグの試合。
観客席から見るしょうへいは、少しだけ大人になっていた。
でも、やっぱり変わっていなかった。
ボールを持つと、空気が変わる。
「来たな」
あのときと同じ感じ。
試合後。
体育館の外。
しょうへいが言う。
「なんかさ」
「まだ続いてる気がするんだよな」
ゆなは少し笑う。
「続いてるよ」
しょうへいは空を見上げる。
「でも、あのときとは違うだろ」
ゆなは少し黙る。
そして言う。
「違うけど、同じ」
しょうへいは笑う。
「意味わかんねぇな」
ゆなも笑う。
でも、それでよかった。
るきは少し離れた場所で試合を見ていた。
「数字、悪くなかったな」
そう呟く。
もうプレイヤーじゃない目だった。
でも、一番厳しい目だった。
ゆなは思う。
あの88-82から始まったものは、まだ終わっていない。
形を変えただけ。
続いている。
ずっと。


