劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

(何描こうかな〜。ジルを描こうかな。中庭のピアノも素敵だし、空の絵を描いてみてもいいし。迷うな〜)

マシューが考えながら歩いていると、「ねぇ、ちょっと」と刺々しい声が背中に突き刺さる。ドクンとマシューの心臓が嫌な音を立てて軋んだ。

「な、何?」

マシューが振り返ると、そこにはパトリシアとイーサンが立っていた。マシューが杖を握り締めて軽快な目を向けると、パトリシアが訊ねる。

「ねぇ、あんたって冬休みに屋敷に帰るつもり?」

「えっ?」

攻撃されると身構えていたマシューは、予想していなかった言葉に首を傾げる。パトリシアが苛立った様子で「答えなさいよ!」と言い、イーサンが「耳聴こえねぇのか〜?」とニヤニヤと笑った。

「……帰らないよ」

マシューがそう返すと、パトリシアとイーサンは顔を見合わせた後、勝ち誇ったような顔をマシューに向ける。

「そうよね。あんたは帰れないわよね。帰る家なんてどこにもないんだから」