天気……今日は二十四節気のなかの『大雪』。平地にも雪が降り積もる季節がやってきた。朝、目が覚めてから、うちの外を見たら、翠湖公園の中にある草木が、真っ白くなっていた。雪が降ったのかと思ったら、雪ではなくて霜だった。
昨夜はとても冷え込んで、寒くてたまらなかった。厚い毛布をかけて、妻猫と体をぴったり寄せ合って寒さに耐えながら一晩過ごした。朝食を取る前に、ぼくはいつものように散歩にでた。すると向こうから地包天がやってくるのが見えた。ぼくはびっくりした。
「地包天、どうしたのだい、こんなに早く」
ぼくは地包天に駆け寄って、すぐに聞いた。
「初雪が降ったから、翠湖公園のきれいな雪景色を見にきたの」
地包天がそう答えた。
「雪ではない。霜だ」
ぼくは地包天に教えてやった。すると地包天がけげんそうな顔をしながら、
「わたしは、てっきり雪だと思ったわ。雪と霜はどう違うの」
と、ぼくに聞いた。
「雪は空から降ってくるけど、霜は地上近くにある水蒸気が凍ってできる」
ぼくは地包天にそう説明した。
「そうだったの。分かったわ」
地包天がうなずいていた。地包天はそのあと湖に氷が張っているのに気がついて
「湖の上を歩くことができるかしら」
と、興味深そうな顔をしながら聞いた。
「氷が割れたら危ないから歩かないほうがいいよ」
ぼくはそう答えた。
「分かったわ。わたしは泳ぎがあまり得意ではないから湖の中には入らないことにするわ」
地包天がそう答えた。
「あれ、あそこからやってくるのはフェイナではないかな」
翠湖公園の中を、ぐるりと見まわしていたぼくは、遠くのほうにプードル犬が見えたので、そう言った。頭の上の巻き毛を赤く染めてお洒落なかっこうをして歩いていたので、あれはフェイナに間違いないと思った。フェイナのそばに、もう一匹、プードル犬がいた。かなり太っているプードル犬だった。よく見ると、シャオパイだった。ほんの数日、会っていなかっただけだったのに、見違えるほどに太っていた。ぼくと地包天は急いで駆け寄っていった。
「笑い猫、シャオパイを連れてきたわ」
フェイナがそう言った。
「分かるけど、まるで別の犬のようにしか見えない」
ぼくはそう答えた。地包天もシャオパイの姿を、しげしげと眺めながら、
「失望したわ。どうして、こんなに、ぶくぶく太ったの」
と聞いていた。
「ぼくの姿は、そんなにおかしいですか」
シャオパイが、ぼそぼそとした声で聞き返していた。
「おかしいわよ。ちっともスマートではない」
地包天がそう答えた。
「笑い猫もそう思いますか」
シャオパイが今度は、ぼくに聞いた。その質問には答えないで
「おまえは最近、鏡を見たことがあるか」
と、シャオパイに聞いた。
「ない」
と、シャオパイが答えた。
「鏡を見たら分かると思うけど、今のおまえの姿は、以前のおまえの姿とは、まったく違っている」
ぼくはシャオパイにそう言った。ぼくの話を聞いて、地包天がうなずいた。
「わたしは以前のあなたがとても好きだったわ。わたしと違って、とてもスマートだったから、美しい姿に、ずっとあこがれていた。でも今、その姿を見ると……」
地包天がそう言って、シャオパイの変わりように、深いため息をついていた。
「ここ数日、おまえとは会っていなかったが、一体、どのような生活を送っていたのだ?」
ぼくはシャオパイに聞いた。
「毎日、おいしいものをたくさん食べさせてもらったから楽しく過ごしていた」
シャオパイがそう答えた。
「食後の運動はしていたのか」
ぼくはさらに聞いた。シャオパイは首を横に振った。
「飼い主さんは、外に出るのが嫌いだったから散歩に連れていってもらうことはなかった。毎日、食べては寝て、寝ては食べての生活をくりかえしていた」
シャオパイがそう言った。それを聞いて、シャオパイが太ったわけが分かったような気がした。
「そんな生活だと健康的によくないよ。長く生きることができなくなる。おまえには、普通の犬以上にしあわせな生活を送ってほしいと思っているから、今の生活をあらためなければならない」
ぼくはシャオパイにそう言った。
「そう言われても、ぼくにはどうしたらよいか分からない」
シャオパイがそう答えた。それを聞いてフェイナが
「まずはダイエットをすることが大切。そのためには走ることが一番だと思うわ。道を走るのは危ないから、あなたを翠湖公園に連れてきたの。さあ、これから公園の中を、ぐるぐると走りましょう」
と言った。
「どれくらい走ればいいの?」
シャオパイが聞いた。
「疲れるまで走るのよ。ひとりで走るのは楽しくないだろうから、わたしもいっしょに走るわ」
フェイナがそう答えた。
「わたしもいっしょに走ろうかな」
地包天がそう言った。
「いいですよ。いっしょに走りましょう。笑い猫も、どう?」
フェイナがぼくに聞いた。
「いいですよ。ぼくも走ります」
ぼくはフェイナにそう答えた。
それからまもなく、ぼくたちは、いっしょに公園の中を駆け出していった。
最初は勢いよくダッシュしていったから、走るのはぼくが一番速かった。太っているシャオパイは速度があがらず、体をゆすりながら、一番あとからついてきた。公園の周りを一周して戻ってきてからは持久力に勝る犬には、ぼくは到底かなわなかった。フェイナが先頭を走り、そのあと地包天が続き、そのあと、ぼくが続き、一番あとから、シャオパイが、息を弾ませながら、ついてきた。周囲二キロほどある公園の周りを二周回ってから、ぼくたちは走るのをやめた。
「いい運動になったわね。これから毎日、いっしょに走りましょう」
フェイナがそう言った。ぼくはうなずいた。それからまもなく、フェイナはシャオパイを連れて桜木横丁に帰っていった。ぼくと地包天は、フェイナとシャオパイの姿が見えなくなるまでじっと見ていた。ぼくはそのあと地包天と別れて、うちへ帰って朝ご飯を食べることにした。
「今日は楽しかったわ。明日もまた来るわ」
地包天がそう言って、さわやかな顔をしながら、ぼくにそう言った。
「走ることは、ぼくたちの健康にもいいね」
ぼくがそう言うと、地包天が、にっこりと、うなずいていた。
昨夜はとても冷え込んで、寒くてたまらなかった。厚い毛布をかけて、妻猫と体をぴったり寄せ合って寒さに耐えながら一晩過ごした。朝食を取る前に、ぼくはいつものように散歩にでた。すると向こうから地包天がやってくるのが見えた。ぼくはびっくりした。
「地包天、どうしたのだい、こんなに早く」
ぼくは地包天に駆け寄って、すぐに聞いた。
「初雪が降ったから、翠湖公園のきれいな雪景色を見にきたの」
地包天がそう答えた。
「雪ではない。霜だ」
ぼくは地包天に教えてやった。すると地包天がけげんそうな顔をしながら、
「わたしは、てっきり雪だと思ったわ。雪と霜はどう違うの」
と、ぼくに聞いた。
「雪は空から降ってくるけど、霜は地上近くにある水蒸気が凍ってできる」
ぼくは地包天にそう説明した。
「そうだったの。分かったわ」
地包天がうなずいていた。地包天はそのあと湖に氷が張っているのに気がついて
「湖の上を歩くことができるかしら」
と、興味深そうな顔をしながら聞いた。
「氷が割れたら危ないから歩かないほうがいいよ」
ぼくはそう答えた。
「分かったわ。わたしは泳ぎがあまり得意ではないから湖の中には入らないことにするわ」
地包天がそう答えた。
「あれ、あそこからやってくるのはフェイナではないかな」
翠湖公園の中を、ぐるりと見まわしていたぼくは、遠くのほうにプードル犬が見えたので、そう言った。頭の上の巻き毛を赤く染めてお洒落なかっこうをして歩いていたので、あれはフェイナに間違いないと思った。フェイナのそばに、もう一匹、プードル犬がいた。かなり太っているプードル犬だった。よく見ると、シャオパイだった。ほんの数日、会っていなかっただけだったのに、見違えるほどに太っていた。ぼくと地包天は急いで駆け寄っていった。
「笑い猫、シャオパイを連れてきたわ」
フェイナがそう言った。
「分かるけど、まるで別の犬のようにしか見えない」
ぼくはそう答えた。地包天もシャオパイの姿を、しげしげと眺めながら、
「失望したわ。どうして、こんなに、ぶくぶく太ったの」
と聞いていた。
「ぼくの姿は、そんなにおかしいですか」
シャオパイが、ぼそぼそとした声で聞き返していた。
「おかしいわよ。ちっともスマートではない」
地包天がそう答えた。
「笑い猫もそう思いますか」
シャオパイが今度は、ぼくに聞いた。その質問には答えないで
「おまえは最近、鏡を見たことがあるか」
と、シャオパイに聞いた。
「ない」
と、シャオパイが答えた。
「鏡を見たら分かると思うけど、今のおまえの姿は、以前のおまえの姿とは、まったく違っている」
ぼくはシャオパイにそう言った。ぼくの話を聞いて、地包天がうなずいた。
「わたしは以前のあなたがとても好きだったわ。わたしと違って、とてもスマートだったから、美しい姿に、ずっとあこがれていた。でも今、その姿を見ると……」
地包天がそう言って、シャオパイの変わりように、深いため息をついていた。
「ここ数日、おまえとは会っていなかったが、一体、どのような生活を送っていたのだ?」
ぼくはシャオパイに聞いた。
「毎日、おいしいものをたくさん食べさせてもらったから楽しく過ごしていた」
シャオパイがそう答えた。
「食後の運動はしていたのか」
ぼくはさらに聞いた。シャオパイは首を横に振った。
「飼い主さんは、外に出るのが嫌いだったから散歩に連れていってもらうことはなかった。毎日、食べては寝て、寝ては食べての生活をくりかえしていた」
シャオパイがそう言った。それを聞いて、シャオパイが太ったわけが分かったような気がした。
「そんな生活だと健康的によくないよ。長く生きることができなくなる。おまえには、普通の犬以上にしあわせな生活を送ってほしいと思っているから、今の生活をあらためなければならない」
ぼくはシャオパイにそう言った。
「そう言われても、ぼくにはどうしたらよいか分からない」
シャオパイがそう答えた。それを聞いてフェイナが
「まずはダイエットをすることが大切。そのためには走ることが一番だと思うわ。道を走るのは危ないから、あなたを翠湖公園に連れてきたの。さあ、これから公園の中を、ぐるぐると走りましょう」
と言った。
「どれくらい走ればいいの?」
シャオパイが聞いた。
「疲れるまで走るのよ。ひとりで走るのは楽しくないだろうから、わたしもいっしょに走るわ」
フェイナがそう答えた。
「わたしもいっしょに走ろうかな」
地包天がそう言った。
「いいですよ。いっしょに走りましょう。笑い猫も、どう?」
フェイナがぼくに聞いた。
「いいですよ。ぼくも走ります」
ぼくはフェイナにそう答えた。
それからまもなく、ぼくたちは、いっしょに公園の中を駆け出していった。
最初は勢いよくダッシュしていったから、走るのはぼくが一番速かった。太っているシャオパイは速度があがらず、体をゆすりながら、一番あとからついてきた。公園の周りを一周して戻ってきてからは持久力に勝る犬には、ぼくは到底かなわなかった。フェイナが先頭を走り、そのあと地包天が続き、そのあと、ぼくが続き、一番あとから、シャオパイが、息を弾ませながら、ついてきた。周囲二キロほどある公園の周りを二周回ってから、ぼくたちは走るのをやめた。
「いい運動になったわね。これから毎日、いっしょに走りましょう」
フェイナがそう言った。ぼくはうなずいた。それからまもなく、フェイナはシャオパイを連れて桜木横丁に帰っていった。ぼくと地包天は、フェイナとシャオパイの姿が見えなくなるまでじっと見ていた。ぼくはそのあと地包天と別れて、うちへ帰って朝ご飯を食べることにした。
「今日は楽しかったわ。明日もまた来るわ」
地包天がそう言って、さわやかな顔をしながら、ぼくにそう言った。
「走ることは、ぼくたちの健康にもいいね」
ぼくがそう言うと、地包天が、にっこりと、うなずいていた。

