チェンジ・アクト!〜桁外れの演技力とメイクの力で別人潜入調査!?〜

『さ、最後まで気を抜くなよ。あとは正面から普通に会社を出ろ』

入った時と同じように、部屋を出て、入り口に向かう。

悪事の証拠とはいえ、USBメモリを盗みながら正面から帰るなんてありえない。

考えられない。

だって、普通の盗人は裏口から入ったり、どこかに隠れたりするもの。

でも、今の私は逃げも隠れもせず、会社の入り口を出ようとしている。

ゆっくりと、そして堂々と、会社の入り口をまたぐ。

そして外に出て初めて自分の演技力も、帆高くんのメイク力も、全部を心から信じられるのだ。

組織のアジトに戻ると、帆高くんが満足そうにニコッと笑った。

「お疲れ様、優和」

「帆高くんもお疲れ様」

気づけば、二人で顔を見合わせて笑っていた。

この日、私たちはバディとして初めての仕事を無事に完了させた。