チェンジ・アクト!〜桁外れの演技力とメイクの力で別人潜入調査!?〜

『よくやった、優和』

べルルから聞こえる帆高くんの声に自然と笑ってしまう。

きっと素直に嬉しかったんだと思う。

「えっと、今から6階に上がれば良いんだよね……?」

『ああ。利都いわく、今なら通路にはほとんど人がいないからチャンスらしい。もしすれ違っても、取引先の社員として堂々としていれば良い』

「分かった」

応接室を出て、エレベーターには乗らずに、階段を上がっていく。

早なる気持ちをおさえて、パンプスを一定のテンポでコツコツと鳴らす。

もし誰かとすれ違っても、取引先の社員に見えるように。

月花鏡グループの社員とすれ違う度、軽く会釈(えしゃく)される。

会釈を返しながら、集中を切らさないで、加賀見 日菜を演じ切る。

6階の一番奥の部屋に入り、扉を閉めたところで、私はやっと演技をやめた。