「出来たよ」
しばらくして、帆高くんの声が聞こえる。
テレビから顔を上げて、鏡を見ると……。
「別人すぎる……」
「だろ?」
帆高くんのほこらしそうな声。
そして帆高くんの用意した服に靴、アクセサリーを身につければ、私はもう大人の会社員にしか見えない。
「優和が演じるのは、月花鏡グループの取引先の会社の社員、加賀見 日菜。仕事が出来て、自分の意見をはっきり言える。周りからも頼りにされていて、何事もおそれない性格」
帆高くんの声を聞きながら、目を閉じる。
そして、いつも通りの一回の深呼吸。
息を吸って、そして吐けば……もう私じゃない。
「いけるか?」
「うん」
はっきりと返事をして、帆高くんと一緒に部屋を出る。



