薫の君は小君に、お行列から外れて手紙を届けるようお命じになったけれど、結局人目が多くてそれはできなかった。
そのまま都のお屋敷にお帰りになって、翌日あらためて小君を小野へ出発させなさる。
大げさにならない程度のお供と、宇治の山荘へよくお遣わしになっていた家来をつけておやりになった。
こっそりと小君を呼んでおっしゃる。
「亡くなった姉君のお顔は覚えているかい。実は生きていらっしゃるらしいのだよ。まだ他の人には知られたくない。だからおまえが、本当に姉君かどうか確かめてきておくれ。母君にはまだ言ってはいけないよ。母君が騒いだら、よけいな人まで姉君が生きていらっしゃることを知ってしまわれる。たしかに姉君だということになったら、私から母君に知らせてあげよう。私はそのためにおまえの姉君を探しているのだからね」
今からもう口止めなさるけれど、幼い小君はあやしまない。
<兄弟は多いけれど、あの姉君だけは全然違うお美しさだった。お亡くなりになったと聞いて悲しかったのに、薫の君が見つけてくださったのだ>
と思うと、うれしくて涙がこぼれる。
恥ずかしくて、大きな声で「はい」とお返事した。
そのまま都のお屋敷にお帰りになって、翌日あらためて小君を小野へ出発させなさる。
大げさにならない程度のお供と、宇治の山荘へよくお遣わしになっていた家来をつけておやりになった。
こっそりと小君を呼んでおっしゃる。
「亡くなった姉君のお顔は覚えているかい。実は生きていらっしゃるらしいのだよ。まだ他の人には知られたくない。だからおまえが、本当に姉君かどうか確かめてきておくれ。母君にはまだ言ってはいけないよ。母君が騒いだら、よけいな人まで姉君が生きていらっしゃることを知ってしまわれる。たしかに姉君だということになったら、私から母君に知らせてあげよう。私はそのためにおまえの姉君を探しているのだからね」
今からもう口止めなさるけれど、幼い小君はあやしまない。
<兄弟は多いけれど、あの姉君だけは全然違うお美しさだった。お亡くなりになったと聞いて悲しかったのに、薫の君が見つけてくださったのだ>
と思うと、うれしくて涙がこぼれる。
恥ずかしくて、大きな声で「はい」とお返事した。



