小野の家では、浮舟の君が庭の蛍をぼんやりと眺めていた。
そこへにぎやかな声が聞こえて、たくさんの灯りがちらちらと近づいてきた。
尼君や女房たちも外を気になさる。
「どなたのお行列かしら。お供がずいぶん多いようだけれど」
「昼間、僧都様のところに食材を差し上げたら、『薫の君が急にお越しになってお食事をどうしようか困っていた。ちょうどよい』とおっしゃったそうですよ」
「では薫の君がお帰りになるのでしょう。薫の君といえば、たしか女二の宮様の婿君でいらっしゃいましたかね」
都から離れた山里の、しかも尼姿の女房たちだもの、会話が田舎くさいのよね。
浮舟の君ははっとする。
<本当に薫の君だ>
お行列の声のなかに、薫の君が宇治へお越しになるときに聞こえた家来の声が混ざっている。
<いつまでも昔のことを覚えていてはいけない。尼になったのだから>
お経を読むことに集中して、いつも以上に女房たちのおしゃべりから遠ざかる。
そこへにぎやかな声が聞こえて、たくさんの灯りがちらちらと近づいてきた。
尼君や女房たちも外を気になさる。
「どなたのお行列かしら。お供がずいぶん多いようだけれど」
「昼間、僧都様のところに食材を差し上げたら、『薫の君が急にお越しになってお食事をどうしようか困っていた。ちょうどよい』とおっしゃったそうですよ」
「では薫の君がお帰りになるのでしょう。薫の君といえば、たしか女二の宮様の婿君でいらっしゃいましたかね」
都から離れた山里の、しかも尼姿の女房たちだもの、会話が田舎くさいのよね。
浮舟の君ははっとする。
<本当に薫の君だ>
お行列の声のなかに、薫の君が宇治へお越しになるときに聞こえた家来の声が混ざっている。
<いつまでも昔のことを覚えていてはいけない。尼になったのだから>
お経を読むことに集中して、いつも以上に女房たちのおしゃべりから遠ざかる。



