野いちご源氏物語 五四 夢浮橋(ゆめのうきはし)

(かおる)(きみ)比叡(ひえい)(ざん)でいつものようにお参りなさって、翌日、僧都(そうづ)が暮らしている建物へお越しになった。
僧都は驚いて恐縮(きょうしゅく)なさる。
これまで薫の君からお祈りのご相談を受けることはあったけれど、特に親しいお付き合いはなかった。
でも、昨年僧都が(おんな)(いち)(みや)様のご病気を治して以来、薫の君は僧都を尊敬して、もう少し深いお付き合いをなさるようになったの。

<重々しいご身分の薫の君が、わざわざ私に会いに来てくださった>
僧都は感激しておもてなしをなさる。
幼いころから出家(しゅっけ)したいと思っていた薫の君だから、仏教のお話を熱心にして、途中でちょっとしたお食事も召し上がった。