ここは、団地の4階にある一室。
「うるさいのよ!!
静かに出来ないの?!」
「ママ、ごめんなさい!
ごめんなさい!」
「あーーーっっ!!
うるさいのよ!!
静かにしなさい!!」
子どもの泣き声、大人の怒号、子どもを引きずられる音…。
「そんなに声出したいなら、外にいなさい!!」
「ママ、ごめんなさい!!
ごめんなさい!
外に出さないで!!
ママぁーーーっっ!!」
「うるさい!!」
女の人は、ベランダに子どもを放り出した。
子どもは、窓を叩いて叫んだ。
「ママ、ごめんなさい!!」
「ごめんなさい!じゃないでしょう!!
ずっと、そこに居なさい!!」
「ママ、ごめんなさい!!」
女の人は、ベランダのカーテンを閉めた。
「ママ、寒いよぉ…。
中に入れて!!
ママぁ!!」
「うるさい!!
そこで反省しなさい!!」
女の子は、ベランダの端に座り込んだ。
「今日も仕事だって言うのに…!!
寝れないし!!
子どもなんて産むんじゃなかった!!」
夕方、カーテンが開いた。
「ママ!!」
「ママ、仕事行くから!!
今日は、そこで寝なさい!!」
「ママ!!
寒いよぉ!!」
「うるさい!!
そこに居なさい!!」
女の子は、ベランダに放り出されたまま、女の人は仕事に行ってしまった。
女の子は、仕方なく、ベランダにしゃがみ込んだ。
手を擦り合わせ、息を吹きかけ、暖をとっていた。
すると、女の子の前に光が2つ現れた。
女の子は、驚いた。
「ここ…4階なのに…。」
女の子の目の前に、赤い列車が停まった。
赤い列車のドアが開いて、太っちょの車掌さんが出て来た。
「栗野 あかり様ですね?」
「は…はい…。」
女の子は、自分の名前を言われて、警戒した。
「お待たせしました。
どうぞお乗りください。」
「え…。
でも…。
お金なくて…。」
「大丈夫ですよ。
これは、子ども列車。
子どもから、お金をいただくことは、ありません。
どうぞ、お乗りください。」
あかりは、恐る恐る子ども列車に乗った。
太っちょの車掌さんは、子ども列車について話してくれた。
「ここは、特別な子どもしか来れない列車。
1番後ろには、お風呂があります。
1番前には、食堂があります。」
「食堂?」
「ご飯を食べるとこです。」
「ご飯?!」
「今、食べますか?」
「はい。」
「では、食堂に行きましょう。」
太っちょの車掌さんは、あかりを食堂車に連れて行った。
「何でも食べ放題の飲み放題です。
好きにご注文ください。」
「じゃあ、オムライスとオレンジジュース!」
「かしこまりました。」
太っちょの車掌さんは、コックさんに頼んで、コックさんは、オムライスを作り始めた。
すぐに、あかりの前に、オムライスとオレンジジュースが置かれた。
「いただきますっ!」
あかりは、何日も食べてなかったから、オムライスを口いっぱいに頬張った。
「温かいご飯だ!」
「いつもは、冷たいんですか?」
「そうです…。」
「そうでしたか…。
温かいご飯はお口に合いますか?」
「とても美味しいです。」
あかりは、また、オムライスを口いっぱいに頬張った。
オムライスを食べ終わると、太っちょの車掌さんが、あかりに聞いた。
「次は、何にしますか?」
「お風呂っ!」
「かしこまりました。」
あかりは、食器を片付けようとした。
「ああ、食器はそのままで。
コックが片付けますので。」
「わ…分かりました。」
「いつも、家では片付けられていたんですね。
素晴らしいことです。
でも、ここでは、必要ないですよ。
あかりさんは、お客様ですから。」
「ありがとうございます。」
食器を片付けてただけで、褒められると思わなかった、あかり。
初めて褒められて、嬉しかった。
「では、お風呂に行きましょう。」
「はい。」
あかりは、太っちょの車掌さんにお風呂の場所まで案内してもらった。
「シャンプー、コンディショナー、ボディーソープは、中にございます。
ゆっくり、温まって下さい。」
「はい。
ありがとうございます。」
あかりは、お風呂に入った。
「お風呂って温かいんだ…。」
温かいお風呂に初めて入った、あかり。
お風呂から出て、眠くなった頃、太っちょの車掌さんが、寝台という、寝るとこに連れてってくれた。
「お布団、あったかい!」
温かい布団も初めてのあかり。
あかりの母親は、キャバクラで働いていて、仕事が終わったら、ホストに通っていた。
だから、帰って来るのは、いつも朝。
家の中で寝た時の、あかりは起きたら、保育園に行く準備を自分でして、1人で保育園に行っていた。
太っちょの車掌さんが、運転手さんに言った。
「今、寝たとこなので、ゆっくり時間を進めましょう。」
「分かりました。」
子ども列車は、時間をいじることが出来た。
朝、8時。
母親が帰って来る時間…。
あかりは、太っちょの車掌さんに起こされて、自分の家のベランダに戻った。
「今日も、お迎えにあがります。」
そう言って、太っちょの車掌さんは、列車と共に消えた。
そこに、母親が帰ってきて、ベランダを開けてくれた。
あかりは、静かに部屋に入り、保育園の準備を始め、保育園に向かった。
保育園では、子ども列車のことは黙っていた。
なんだか、他の人には、話しちゃいけない気がしたから。
保育園から帰ると、母親が起きていた。
あかりは、怒られないように、静かに保育園の荷物を片付た。
水筒は、音が出るから、母親が出てからにしようとしていた。
母親は、出勤の準備を始めた。
あかりは、母親から少し離れたとこで、本を読んでいた。
「あかり、今日も遅いから。
ちゃんと、水風呂入って寝るんだよ?」
「はい。」
「お湯は使わないこと。
お湯を使っていいのは、私だけだからね!」
「はい。」
「じゃあ、行って来るから。
鍵、閉めといて。」
「はい。」
母親は、仕事に出かけ、あかりは、水筒を洗った。
そこに、昨日の赤い列車がきた。
今日も、太っちょの車掌さんが、子ども列車に乗せてくれた。
あかりは迷わず、ご飯を食べ、お風呂に入り、眠った。
「朝8時に自宅に送り届けましょう。」
太っちょの車掌さんが、運転手さんに言った。
朝8時。
太っちょの車掌さんに起こされて、列車を降りた、あかり。
保育園に行く準備をして、母親の帰りを待っていた。
「ただいまぁ。
酔っ払っちゃったぁ。
斗亜、送ってくれてありがとっ!
愛してる!」
「酔いすぎ!
ってか、子どもいんじゃん。」
「子どもぉ?
そんなのほっとけばいいのぉ!」
母親は、女の顔になって、斗亜と言う男の人とイチャつき始めた。
あかりは、その母親を他所に、保育園に向かった。
斗亜は、母親を寝かせて、あかりを追いかけてきた。
「ちょっと、待って。
どこ行くの?」
あかりは、無視して保育園に行こうとしていた。
「ちょ…待ってって!」
斗亜は、あかりを捕まえた。
「いつもそうなの?」
「え?」
「いつも1人でどこかに行ってるの?」
「いつも1人で、保育園に行ってます。」
「そんな…。
アイツ、子どもになんてことしてんだ!」
「それじゃ、さようなら。」
あかりは保育園に着いた。
保育園から帰ると、母親がキレていた。
「あかり!!
斗亜に何言ったの?!
斗亜と何処か行ってたの?!」
あかりの両肩を掴み、激しく揺さぶった。
「知らない!
あかりは、保育園に行ってただけ!!
ママ、離して!!
痛いよう!!」
「斗亜と連絡とれなかったら、あんたのせいよ!!
どうしてくれるの?!」
「止めて、ママ!!」
母親は、あかりの髪の毛を掴み、ベランダに放り出した。
「ママ、開けて!!
寒いよう!!」
「じゃあ、斗亜と何したの?!
斗亜は、私のよ?!
これで、斗亜と結婚できなかったら、全てあんたのせいよ!!
あんたなんか産むんじゃなかった!!」
「ママ!!
開けて!!」
「開けないから!!
今日は、そのまま居なさい!!
あーーーーーっっ!!
斗亜と連絡取れない!!
斗亜!!」
半狂乱になりながら、母親は斗亜と連絡を、取ろうとしていた。
夜、やっと、斗亜と連絡取れた、母親。
「斗亜、私を捨てないで!」
「捨てるわけないじゃん。」
「良かったぁ…。
じゃあ、仕事行ってくるね。
今日も行くから。」
「分かった。
子どもは?」
「ああ、大丈夫。
聞き分けいいから。」
「ふぅん…。」
「じゃ、後でね。」
「うん。」
母親は浮かれて、仕事に行った。
ベランダに、あかりを置いたまま。
寒さで凍えていたら、子ども列車がきた。
太っちょの車掌さんが、あかりを見て、憤りを覚えた。
「あかり様、このまま、お風呂に入ると、危険なにで、体を温めてからお風呂にしましょう。」
「はい。」
「まずは、食堂で、スープを飲みましょう。」
「はい。」
太っちょの車掌さんは、食堂に連れて行った。
「あかり様、この毛布で、体を温めて下さい。
スープ、すぐに持ってきますね。」
「ありがとうございます。」
スープはすぐに来た。
「スープを飲みながらでいいので聞いてください。
この、子ども列車は、7日間しか乗れません。
今日で3日目です。
あと4回しか乗れません。
最後まで、楽しんでください。」
「分かりました。」
そして、最後の日が来た。
あかりは、名残惜しむのと同時に、母親からの虐待に耐えれるかの問題を抱えた。
最後に降りる時、あかりは、ありがとうございました。と言って降りた。
あかりは、いつものように保育園に行った。
保育園から帰ると、母親と斗亜が眠っていた。
あかりは、いつものように、音を立てずに、保育園のものを片付けた。
片付け終わると、斗亜が起きてきた。
「おかえり。」
「ただいま…。」
「おっ、口聞いてくれるんだ?」
あかりは、コクンと頷いた。
「いつも、何食べてるの?」
「なにも食べてない…。」
「えっ…。
何も?!
お弁当とかは?」
「たまに…。」
そこに、母親が起きてきた。
「斗亜ぁ、そんなのほっといて、もう一回しよ?」
「子どもの前だぞ?」
「いいのぉ。
あかり、外で遊んできな。」
「はい…。」
「いやいや、1人で行かすのかよ?」
「大丈夫だって。
ねぇ、いいでしょ?」
猫撫で声で、甘える姿を見て、あかりは気持ち悪いとさえ思った。
あかりは、母の言う通り、外に出た。
斗亜は止めようとしたけど、母親に捕まっていて、追いかけることができなかった。
「今日は、仕事休みでしょ?
ずっと、一緒に居てよ。」
「子どもは?」
「あんなのは、ベランダに出すから。」
「お前それでも親かよ!」
「なに?
斗亜、あかりの方がいいの?」
「そう言うこと言ってんじゃない!」
「じゃあ、いいじゃん。」
外が暗くなって、あかりが帰ってきた。
安心する斗亜の前で、母親は、あかりをベランダに出した。
「ママ!!
寒いよぉ…!!
開けて!!」
「うるさい!!
斗亜との時間邪魔しないで!!」
「おい!
やめろよ!!
真冬だぞ?」
「いいの!!
あかり、静かにそこで寝なさい!」
「寝たら、死ぬかもしれないんだぞ?」
「大丈夫だって。
今までだって、そうしてきたんだから。
あんな奴のことはいいからさぁ。」
母親が寝て、斗亜は起きていた。
「寒かったろ?
中に入りな?」
あかりは、首を横に振った。
「ママに怒られるから…。」
「大丈夫。
俺がいるから。」
そこに、2つの光が近づいてきた。
「え…。
子ども列車には、もう乗れないはず…。」
「なに?
子ども列車?」
「何でもないっ!」
近づいて来るのをよく見たら、赤色じゃなく黒色だった。
「黒い列車…。
あかり…知らない…。」
黒の列車が、あかりと斗亜の前で止まった。
中から出てきたのは、ガリガリの車掌さん。
「栗野 洋子さん。」
車掌さんは、母親の名前を呼んだ。
母親は、ふらふらの足取りで、列車に乗った。
「ご乗車ありがとうございます。」
車掌さんはそう言って、列車を発進させた。
母親が戻って来ることはなかった。
斗亜は、あかりを児童相談所に連れて行き、施設に入ることになった。
「あかりちゃん。
少しの辛抱だからね。
絶対、迎えに来るから。」
そう言って、斗亜は帰って行った。
数日後、斗亜が、あかりを迎えにきた。
「待たせたね。
これからは、一緒だよ。
俺の家に帰ろう。」
あかりには、父親が居らず、行政も斗亜が引き取ることを決定させた。
「うるさいのよ!!
静かに出来ないの?!」
「ママ、ごめんなさい!
ごめんなさい!」
「あーーーっっ!!
うるさいのよ!!
静かにしなさい!!」
子どもの泣き声、大人の怒号、子どもを引きずられる音…。
「そんなに声出したいなら、外にいなさい!!」
「ママ、ごめんなさい!!
ごめんなさい!
外に出さないで!!
ママぁーーーっっ!!」
「うるさい!!」
女の人は、ベランダに子どもを放り出した。
子どもは、窓を叩いて叫んだ。
「ママ、ごめんなさい!!」
「ごめんなさい!じゃないでしょう!!
ずっと、そこに居なさい!!」
「ママ、ごめんなさい!!」
女の人は、ベランダのカーテンを閉めた。
「ママ、寒いよぉ…。
中に入れて!!
ママぁ!!」
「うるさい!!
そこで反省しなさい!!」
女の子は、ベランダの端に座り込んだ。
「今日も仕事だって言うのに…!!
寝れないし!!
子どもなんて産むんじゃなかった!!」
夕方、カーテンが開いた。
「ママ!!」
「ママ、仕事行くから!!
今日は、そこで寝なさい!!」
「ママ!!
寒いよぉ!!」
「うるさい!!
そこに居なさい!!」
女の子は、ベランダに放り出されたまま、女の人は仕事に行ってしまった。
女の子は、仕方なく、ベランダにしゃがみ込んだ。
手を擦り合わせ、息を吹きかけ、暖をとっていた。
すると、女の子の前に光が2つ現れた。
女の子は、驚いた。
「ここ…4階なのに…。」
女の子の目の前に、赤い列車が停まった。
赤い列車のドアが開いて、太っちょの車掌さんが出て来た。
「栗野 あかり様ですね?」
「は…はい…。」
女の子は、自分の名前を言われて、警戒した。
「お待たせしました。
どうぞお乗りください。」
「え…。
でも…。
お金なくて…。」
「大丈夫ですよ。
これは、子ども列車。
子どもから、お金をいただくことは、ありません。
どうぞ、お乗りください。」
あかりは、恐る恐る子ども列車に乗った。
太っちょの車掌さんは、子ども列車について話してくれた。
「ここは、特別な子どもしか来れない列車。
1番後ろには、お風呂があります。
1番前には、食堂があります。」
「食堂?」
「ご飯を食べるとこです。」
「ご飯?!」
「今、食べますか?」
「はい。」
「では、食堂に行きましょう。」
太っちょの車掌さんは、あかりを食堂車に連れて行った。
「何でも食べ放題の飲み放題です。
好きにご注文ください。」
「じゃあ、オムライスとオレンジジュース!」
「かしこまりました。」
太っちょの車掌さんは、コックさんに頼んで、コックさんは、オムライスを作り始めた。
すぐに、あかりの前に、オムライスとオレンジジュースが置かれた。
「いただきますっ!」
あかりは、何日も食べてなかったから、オムライスを口いっぱいに頬張った。
「温かいご飯だ!」
「いつもは、冷たいんですか?」
「そうです…。」
「そうでしたか…。
温かいご飯はお口に合いますか?」
「とても美味しいです。」
あかりは、また、オムライスを口いっぱいに頬張った。
オムライスを食べ終わると、太っちょの車掌さんが、あかりに聞いた。
「次は、何にしますか?」
「お風呂っ!」
「かしこまりました。」
あかりは、食器を片付けようとした。
「ああ、食器はそのままで。
コックが片付けますので。」
「わ…分かりました。」
「いつも、家では片付けられていたんですね。
素晴らしいことです。
でも、ここでは、必要ないですよ。
あかりさんは、お客様ですから。」
「ありがとうございます。」
食器を片付けてただけで、褒められると思わなかった、あかり。
初めて褒められて、嬉しかった。
「では、お風呂に行きましょう。」
「はい。」
あかりは、太っちょの車掌さんにお風呂の場所まで案内してもらった。
「シャンプー、コンディショナー、ボディーソープは、中にございます。
ゆっくり、温まって下さい。」
「はい。
ありがとうございます。」
あかりは、お風呂に入った。
「お風呂って温かいんだ…。」
温かいお風呂に初めて入った、あかり。
お風呂から出て、眠くなった頃、太っちょの車掌さんが、寝台という、寝るとこに連れてってくれた。
「お布団、あったかい!」
温かい布団も初めてのあかり。
あかりの母親は、キャバクラで働いていて、仕事が終わったら、ホストに通っていた。
だから、帰って来るのは、いつも朝。
家の中で寝た時の、あかりは起きたら、保育園に行く準備を自分でして、1人で保育園に行っていた。
太っちょの車掌さんが、運転手さんに言った。
「今、寝たとこなので、ゆっくり時間を進めましょう。」
「分かりました。」
子ども列車は、時間をいじることが出来た。
朝、8時。
母親が帰って来る時間…。
あかりは、太っちょの車掌さんに起こされて、自分の家のベランダに戻った。
「今日も、お迎えにあがります。」
そう言って、太っちょの車掌さんは、列車と共に消えた。
そこに、母親が帰ってきて、ベランダを開けてくれた。
あかりは、静かに部屋に入り、保育園の準備を始め、保育園に向かった。
保育園では、子ども列車のことは黙っていた。
なんだか、他の人には、話しちゃいけない気がしたから。
保育園から帰ると、母親が起きていた。
あかりは、怒られないように、静かに保育園の荷物を片付た。
水筒は、音が出るから、母親が出てからにしようとしていた。
母親は、出勤の準備を始めた。
あかりは、母親から少し離れたとこで、本を読んでいた。
「あかり、今日も遅いから。
ちゃんと、水風呂入って寝るんだよ?」
「はい。」
「お湯は使わないこと。
お湯を使っていいのは、私だけだからね!」
「はい。」
「じゃあ、行って来るから。
鍵、閉めといて。」
「はい。」
母親は、仕事に出かけ、あかりは、水筒を洗った。
そこに、昨日の赤い列車がきた。
今日も、太っちょの車掌さんが、子ども列車に乗せてくれた。
あかりは迷わず、ご飯を食べ、お風呂に入り、眠った。
「朝8時に自宅に送り届けましょう。」
太っちょの車掌さんが、運転手さんに言った。
朝8時。
太っちょの車掌さんに起こされて、列車を降りた、あかり。
保育園に行く準備をして、母親の帰りを待っていた。
「ただいまぁ。
酔っ払っちゃったぁ。
斗亜、送ってくれてありがとっ!
愛してる!」
「酔いすぎ!
ってか、子どもいんじゃん。」
「子どもぉ?
そんなのほっとけばいいのぉ!」
母親は、女の顔になって、斗亜と言う男の人とイチャつき始めた。
あかりは、その母親を他所に、保育園に向かった。
斗亜は、母親を寝かせて、あかりを追いかけてきた。
「ちょっと、待って。
どこ行くの?」
あかりは、無視して保育園に行こうとしていた。
「ちょ…待ってって!」
斗亜は、あかりを捕まえた。
「いつもそうなの?」
「え?」
「いつも1人でどこかに行ってるの?」
「いつも1人で、保育園に行ってます。」
「そんな…。
アイツ、子どもになんてことしてんだ!」
「それじゃ、さようなら。」
あかりは保育園に着いた。
保育園から帰ると、母親がキレていた。
「あかり!!
斗亜に何言ったの?!
斗亜と何処か行ってたの?!」
あかりの両肩を掴み、激しく揺さぶった。
「知らない!
あかりは、保育園に行ってただけ!!
ママ、離して!!
痛いよう!!」
「斗亜と連絡とれなかったら、あんたのせいよ!!
どうしてくれるの?!」
「止めて、ママ!!」
母親は、あかりの髪の毛を掴み、ベランダに放り出した。
「ママ、開けて!!
寒いよう!!」
「じゃあ、斗亜と何したの?!
斗亜は、私のよ?!
これで、斗亜と結婚できなかったら、全てあんたのせいよ!!
あんたなんか産むんじゃなかった!!」
「ママ!!
開けて!!」
「開けないから!!
今日は、そのまま居なさい!!
あーーーーーっっ!!
斗亜と連絡取れない!!
斗亜!!」
半狂乱になりながら、母親は斗亜と連絡を、取ろうとしていた。
夜、やっと、斗亜と連絡取れた、母親。
「斗亜、私を捨てないで!」
「捨てるわけないじゃん。」
「良かったぁ…。
じゃあ、仕事行ってくるね。
今日も行くから。」
「分かった。
子どもは?」
「ああ、大丈夫。
聞き分けいいから。」
「ふぅん…。」
「じゃ、後でね。」
「うん。」
母親は浮かれて、仕事に行った。
ベランダに、あかりを置いたまま。
寒さで凍えていたら、子ども列車がきた。
太っちょの車掌さんが、あかりを見て、憤りを覚えた。
「あかり様、このまま、お風呂に入ると、危険なにで、体を温めてからお風呂にしましょう。」
「はい。」
「まずは、食堂で、スープを飲みましょう。」
「はい。」
太っちょの車掌さんは、食堂に連れて行った。
「あかり様、この毛布で、体を温めて下さい。
スープ、すぐに持ってきますね。」
「ありがとうございます。」
スープはすぐに来た。
「スープを飲みながらでいいので聞いてください。
この、子ども列車は、7日間しか乗れません。
今日で3日目です。
あと4回しか乗れません。
最後まで、楽しんでください。」
「分かりました。」
そして、最後の日が来た。
あかりは、名残惜しむのと同時に、母親からの虐待に耐えれるかの問題を抱えた。
最後に降りる時、あかりは、ありがとうございました。と言って降りた。
あかりは、いつものように保育園に行った。
保育園から帰ると、母親と斗亜が眠っていた。
あかりは、いつものように、音を立てずに、保育園のものを片付けた。
片付け終わると、斗亜が起きてきた。
「おかえり。」
「ただいま…。」
「おっ、口聞いてくれるんだ?」
あかりは、コクンと頷いた。
「いつも、何食べてるの?」
「なにも食べてない…。」
「えっ…。
何も?!
お弁当とかは?」
「たまに…。」
そこに、母親が起きてきた。
「斗亜ぁ、そんなのほっといて、もう一回しよ?」
「子どもの前だぞ?」
「いいのぉ。
あかり、外で遊んできな。」
「はい…。」
「いやいや、1人で行かすのかよ?」
「大丈夫だって。
ねぇ、いいでしょ?」
猫撫で声で、甘える姿を見て、あかりは気持ち悪いとさえ思った。
あかりは、母の言う通り、外に出た。
斗亜は止めようとしたけど、母親に捕まっていて、追いかけることができなかった。
「今日は、仕事休みでしょ?
ずっと、一緒に居てよ。」
「子どもは?」
「あんなのは、ベランダに出すから。」
「お前それでも親かよ!」
「なに?
斗亜、あかりの方がいいの?」
「そう言うこと言ってんじゃない!」
「じゃあ、いいじゃん。」
外が暗くなって、あかりが帰ってきた。
安心する斗亜の前で、母親は、あかりをベランダに出した。
「ママ!!
寒いよぉ…!!
開けて!!」
「うるさい!!
斗亜との時間邪魔しないで!!」
「おい!
やめろよ!!
真冬だぞ?」
「いいの!!
あかり、静かにそこで寝なさい!」
「寝たら、死ぬかもしれないんだぞ?」
「大丈夫だって。
今までだって、そうしてきたんだから。
あんな奴のことはいいからさぁ。」
母親が寝て、斗亜は起きていた。
「寒かったろ?
中に入りな?」
あかりは、首を横に振った。
「ママに怒られるから…。」
「大丈夫。
俺がいるから。」
そこに、2つの光が近づいてきた。
「え…。
子ども列車には、もう乗れないはず…。」
「なに?
子ども列車?」
「何でもないっ!」
近づいて来るのをよく見たら、赤色じゃなく黒色だった。
「黒い列車…。
あかり…知らない…。」
黒の列車が、あかりと斗亜の前で止まった。
中から出てきたのは、ガリガリの車掌さん。
「栗野 洋子さん。」
車掌さんは、母親の名前を呼んだ。
母親は、ふらふらの足取りで、列車に乗った。
「ご乗車ありがとうございます。」
車掌さんはそう言って、列車を発進させた。
母親が戻って来ることはなかった。
斗亜は、あかりを児童相談所に連れて行き、施設に入ることになった。
「あかりちゃん。
少しの辛抱だからね。
絶対、迎えに来るから。」
そう言って、斗亜は帰って行った。
数日後、斗亜が、あかりを迎えにきた。
「待たせたね。
これからは、一緒だよ。
俺の家に帰ろう。」
あかりには、父親が居らず、行政も斗亜が引き取ることを決定させた。



