醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 その様子を信じられないという思いでエリシアは見つめた。

 ユーイン国王は人を信用しない。
 義父になる男の信頼を得ようと幼いエリシアも苦慮したが、結局距離を置かれたままだった。

 一年前、レイディン帝国から来たというだけの男がここまで深く食い込んでいる。
 エリシアはその光景に、得体の知れない不安を覚えた。

「エリシア・クルーシー。レジル地方へ向かいなさい。感染症対策だ。聖女としての最初の仕事になる」
 ユーイン国王が声を張り上げる。

 ユーイン国王の言葉に、パトリスが慌てて口を挟む。

「それでは、再来月の結婚式に間に合いません」

 レジル地方は、馬車で急いでも片道二週間。