醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

エリシアは、ゆっくりと匙を音を立てずに置いた。
だが、その動作ひとつで場の空気が引き締まった。

「王宮へ、参内します。私も、早く、けりをつけたいので」

エリシアの静かな声に迷いはなかった。
その言葉に、誰も異を唱えられなかった。

♢♢♢

王宮の謁見の間は、記憶の中にあったよりも、ひどく冷たく感じられた。

高い天井に磨き抜かれた床に光を反射する大理石の柱。
どこまでも美しく、どこまでも人を拒む空間。

長い事、魔獣の森で生きてきたエリシアには息苦しい場所だった。

玉座には、ユーイン国王。
その隣には、マリアンヌ王妃。
背後には、パトリス王太子。