醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

 パトリスの言葉に、エリシアは自分が一度も彼に愛された事はないのだと悟った。
 パトリスは愛したフリが上手で、過去の自分はそれを溺愛されていると勘違いしただけ。
 彼は誰も本気で好きにならない。彼が好きなのは自分だけだ。

「僕はね、本当は君が短くなった髪も好きだよ」
 指先が、彼女の首筋すれすれをなぞる。
 触れていないのに、触れられたような錯覚を覚えエリシアは縮こまった。

「弱っている君も、反抗する君も好きなんだ。全てが愛おしい。逃したくない」
「もう、聞きたくありません」

 十年前は濃厚なパトリスの愛の語らいにときめいた。