「シャルロット、君は本当にスカーレットと違って美しいな。それにこの豊満な体……」
「あん……。オーエン様、人が来てしまいますわ」
人が来てるどころじゃありませんわ、オーエン様。あなたの婚約者であるわたくしが、しっかりと浮気現場を見ております。しかし二人はそんなことに気づくわけもなく、熱い口づけをし、殿下の手は妹のシャルロットの胸を揉みしだいている。
「はあ……これ以上は駄目かい?」
「だってぇ、オーエン様にはお姉様がいらっしゃるのですよ。もしわたくしとの関係が噂になったら、オーエン様にご迷惑がかかってしまいます。そんなことシャルロットは耐えられません!」
「ああ……シャルロット。本当に君は私のことを愛してくれているのだな。スカーレットとは正反対だ。彼女はいつも国のことばかりで私を支えようとする気持ちがない。なぜ君が私の婚約者じゃないのか!」
「オーエン様! わたくしもなぜお姉様があなたを大切にしないのか悲しいのです……!」
「ああ! シャルロット!」
二人はまた人目もはばからず、熱い口づけを再開する。
――オーエン様は馬鹿なのだろうか? 王宮の中とはいえ、こんな騎士や侍女が見守っている東屋で婚約者の妹と熱い抱擁をするなんて。
きっとお喋りな侍女あたりが、今日のことを噂するだろう。明日には王宮中の噂になり、あさってには貴族のお茶会の良い話題だ。
妹がわかっていないわけがない。あの子は昔からそうだった。
「お父様! なぜお姉様だけにドレスを作るのですか? わたくしにも作ってください!」
――それはわたくしのデビュタントだからよ
しかし父は妹に私以上に多く、新しいドレスを与えた。
「お父様! なぜお姉様だけ侍女が多いのですか? わたくしにはお世話する価値がないと言うのですか?」
――それはわたくしが聖女の力を認定され、教会の方がついているだけよ
それでもやっぱり父は、私以上に多くの侍女を用意した。そのせいでやることがない侍女が仕事もなく、ただ妹にはべるだけになって滑稽だ。
何度言っても二言目には「ずるい」「ひどいわ」「わたくしにも、ください」と、そればかり。いい加減聞き飽きた私は、シャルロットに甘い父に意見するのも止めた。
そして今妹が一番欲しいものが、「王太子オーエン様」なのだろう。
――違うわね。王太子妃、そして王妃になりたいのだわ
しかしそんなこと、侯爵の父に頼んでも今さらできるわけがない。わたくしは十歳の時に、国を守る魔力を持った聖女に選ばれた。そのうえその頃から厳しい王妃教育が始まり、七年後の今ようやく終わろうとしているのだ。
王妃としてのマナーからこの国の歴史。複数の外国語。あらゆることを詰め込まれ、今ここに立っている。
――いつも疲れ果てて、誰かに笑顔を見せる余裕なんてないのに……
それでも今はまだ殿下も十七歳。妹のような豊満で妖艶な体に夢中になっているだけだろう。しばらくしたら、彼も国を背負う者として正気に戻るはず。
そう思っていたのだけど、どうやら違ったみたい。
「スカーレット! 君との婚約は解消する! 私を真に愛し、支えてくれる国母となるのは、君の妹のシャルロットがふさわしい!」
「お姉様、ごめんなさい。わたくし、お姉様が殿下に淋しい思いをさせているのに耐えられなかったの」
よりによって二人は、大勢の貴族が集まる夜会で婚約破棄の宣言をしたのだった。
「あん……。オーエン様、人が来てしまいますわ」
人が来てるどころじゃありませんわ、オーエン様。あなたの婚約者であるわたくしが、しっかりと浮気現場を見ております。しかし二人はそんなことに気づくわけもなく、熱い口づけをし、殿下の手は妹のシャルロットの胸を揉みしだいている。
「はあ……これ以上は駄目かい?」
「だってぇ、オーエン様にはお姉様がいらっしゃるのですよ。もしわたくしとの関係が噂になったら、オーエン様にご迷惑がかかってしまいます。そんなことシャルロットは耐えられません!」
「ああ……シャルロット。本当に君は私のことを愛してくれているのだな。スカーレットとは正反対だ。彼女はいつも国のことばかりで私を支えようとする気持ちがない。なぜ君が私の婚約者じゃないのか!」
「オーエン様! わたくしもなぜお姉様があなたを大切にしないのか悲しいのです……!」
「ああ! シャルロット!」
二人はまた人目もはばからず、熱い口づけを再開する。
――オーエン様は馬鹿なのだろうか? 王宮の中とはいえ、こんな騎士や侍女が見守っている東屋で婚約者の妹と熱い抱擁をするなんて。
きっとお喋りな侍女あたりが、今日のことを噂するだろう。明日には王宮中の噂になり、あさってには貴族のお茶会の良い話題だ。
妹がわかっていないわけがない。あの子は昔からそうだった。
「お父様! なぜお姉様だけにドレスを作るのですか? わたくしにも作ってください!」
――それはわたくしのデビュタントだからよ
しかし父は妹に私以上に多く、新しいドレスを与えた。
「お父様! なぜお姉様だけ侍女が多いのですか? わたくしにはお世話する価値がないと言うのですか?」
――それはわたくしが聖女の力を認定され、教会の方がついているだけよ
それでもやっぱり父は、私以上に多くの侍女を用意した。そのせいでやることがない侍女が仕事もなく、ただ妹にはべるだけになって滑稽だ。
何度言っても二言目には「ずるい」「ひどいわ」「わたくしにも、ください」と、そればかり。いい加減聞き飽きた私は、シャルロットに甘い父に意見するのも止めた。
そして今妹が一番欲しいものが、「王太子オーエン様」なのだろう。
――違うわね。王太子妃、そして王妃になりたいのだわ
しかしそんなこと、侯爵の父に頼んでも今さらできるわけがない。わたくしは十歳の時に、国を守る魔力を持った聖女に選ばれた。そのうえその頃から厳しい王妃教育が始まり、七年後の今ようやく終わろうとしているのだ。
王妃としてのマナーからこの国の歴史。複数の外国語。あらゆることを詰め込まれ、今ここに立っている。
――いつも疲れ果てて、誰かに笑顔を見せる余裕なんてないのに……
それでも今はまだ殿下も十七歳。妹のような豊満で妖艶な体に夢中になっているだけだろう。しばらくしたら、彼も国を背負う者として正気に戻るはず。
そう思っていたのだけど、どうやら違ったみたい。
「スカーレット! 君との婚約は解消する! 私を真に愛し、支えてくれる国母となるのは、君の妹のシャルロットがふさわしい!」
「お姉様、ごめんなさい。わたくし、お姉様が殿下に淋しい思いをさせているのに耐えられなかったの」
よりによって二人は、大勢の貴族が集まる夜会で婚約破棄の宣言をしたのだった。



