「真夏ちゃん、乗って」
私がカバンからスマホを出そうとするとライ君に腕を引かれて、黒いリムジンに乗せられる。
趣味が悪い赤いレザーのソファーが私の知るライ君のイメージではない。敏腕若手社長と持て囃され彼も変わってしまったのだろうか。
私はつなぎの制服で笑顔で懸命にガソリンスタンドで働く彼が好きだった。お客さんの一人でしかない私を覚えていてくれて、溌剌と車を拭きながら喋りかけてくれる彼。
今、仕立ての良いスーツを着て、私にシャンパングラスを渡そうとしてくる男は別人だ。
気がつけばリムジンは発進している。
「どこ行くの? 私、用事があるの。車を止めて!」
私がカバンからスマホを出そうとするとライ君に腕を引かれて、黒いリムジンに乗せられる。
趣味が悪い赤いレザーのソファーが私の知るライ君のイメージではない。敏腕若手社長と持て囃され彼も変わってしまったのだろうか。
私はつなぎの制服で笑顔で懸命にガソリンスタンドで働く彼が好きだった。お客さんの一人でしかない私を覚えていてくれて、溌剌と車を拭きながら喋りかけてくれる彼。
今、仕立ての良いスーツを着て、私にシャンパングラスを渡そうとしてくる男は別人だ。
気がつけばリムジンは発進している。
「どこ行くの? 私、用事があるの。車を止めて!」


