妊娠しましたが相手に婚約者がいました。今更私が本命? ご冗談を。

私は膝をついて彼の手を握る。彼はほっとしたような顔で私を見た。
彼は恐怖で私を支配しようとする父親の代わりに、私を優しく見守ってきてくれた男。
そんな彼が極限に追い詰められている今、見捨てて立ち去る無慈悲な女ではない。

少し軋む長い廊下を歩いていると、奥の特別室に着く。

襖を開けられた先にいたのは父と、京極組の組長である京極豪鬼。そして、その隣にいるのは私のお見合い相手だろう。
ヤクザの癖に弁護士バッチをつけていて、思わず笑いが漏れてしまった。
精悍な顔立ちに涙ぼくろのある色っぽい男。一見すると育ちの良い御曹司に見えるが、服を脱げばきっとお絵描きだらけだ。