浮舟の君は恐ろしい夢から覚めたような心地で、汗をかいて伏している。
乳母は扇であおいでさしあげながら言った。
「こういう慣れないところでのご滞在は、あちこちに気を遣うだけでなく、何かあったときに困るものですね。宮様はきっとまたお越しになりましょう。なんと恐ろしい。どれほど尊いご身分の方でも、あんなお振舞いをなさっては嫌になってしまいます。
宮様は中君の夫君でいらっしゃいますからね。姫様が異母姉君から憎まれるようなことがあってはいけません。それで私は、鬼のような顔をして宮様をにらみつけておりました。宮様は私のことを野暮で邪魔な女だとお思いになったのでしょう、この手をつねりなさったのですよ。尊いご身分の方がそこらの男と同じようなことをなさるので、おかしくなってしまいました。
今朝、お母君はお屋敷へ戻られましたが、お供をした者が申すには、お継父君がとんでもなくお怒りだったとか。『自分の連れ子ばかりを大切にして、私たちの娘を放りっぱなしにするとは何事だ。婿君が通ってきてくださっているのに、母親がいなくては格好がつかない』と大声で叱りつけなさったそうです。下働きの者までお母君にご同情していたと申しますよ。
それもこれもすべて少将様が原因です。あの方が姫様とのご結婚を破談にして、下のお嬢さんなんかに乗りかえなさったから、ご家庭内がめちゃくちゃになってしまったのです。これまでときどき嫌なことはあっても、それなりにうまく回っていたではありませんか。あの一件さえなければ、姫様は今も穏やかに暮らしておられたはずなのに」
少将様を恨んで悔しそうにしている。
乳母は扇であおいでさしあげながら言った。
「こういう慣れないところでのご滞在は、あちこちに気を遣うだけでなく、何かあったときに困るものですね。宮様はきっとまたお越しになりましょう。なんと恐ろしい。どれほど尊いご身分の方でも、あんなお振舞いをなさっては嫌になってしまいます。
宮様は中君の夫君でいらっしゃいますからね。姫様が異母姉君から憎まれるようなことがあってはいけません。それで私は、鬼のような顔をして宮様をにらみつけておりました。宮様は私のことを野暮で邪魔な女だとお思いになったのでしょう、この手をつねりなさったのですよ。尊いご身分の方がそこらの男と同じようなことをなさるので、おかしくなってしまいました。
今朝、お母君はお屋敷へ戻られましたが、お供をした者が申すには、お継父君がとんでもなくお怒りだったとか。『自分の連れ子ばかりを大切にして、私たちの娘を放りっぱなしにするとは何事だ。婿君が通ってきてくださっているのに、母親がいなくては格好がつかない』と大声で叱りつけなさったそうです。下働きの者までお母君にご同情していたと申しますよ。
それもこれもすべて少将様が原因です。あの方が姫様とのご結婚を破談にして、下のお嬢さんなんかに乗りかえなさったから、ご家庭内がめちゃくちゃになってしまったのです。これまでときどき嫌なことはあっても、それなりにうまく回っていたではありませんか。あの一件さえなければ、姫様は今も穏やかに暮らしておられたはずなのに」
少将様を恨んで悔しそうにしている。



