「もうすぐ中君のお髪洗いが終わりますよ。お部屋へ戻られますから、早く集まってちょうだい」
という女房たちの声が聞こえる。
あちこちの窓を閉めてまわりながら、女房仲間に声をかけているみたい。
浮舟の君がいるのは物置のように使われていた部屋で、中君のお部屋からは離れている。
右近という女房がやって来て窓を閉めた。
途端にあたりが暗くなる。
「あら、こちらにはまだ灯りをお持ちしていなかったのですね。先に窓を閉めてしまったから真っ暗」
もう一度窓を開けようとする。
匂宮様は、
<このままでは見つかってしまう。どうしようか>
と困りつつも、見つかったら見つかったでよいと思っていらっしゃる。
乳母も一瞬うろたえたけれど、気の強い人なので、この女房に協力してもらおうと決めた。
「あの、ここにちょっと困ったことが起きておりまして、すみませんがお手伝いいただけませんか」
「どうなさったの」
右近が近寄っていくと、部屋にはよい香りが漂っていて、くつろいだ格好の男が浮舟の君にぴったりと寄り添っている。
<あぁ、宮様のいつもの悪いお癖だ。よりによって面倒な相手を見つけてしまわれた。中君の異母妹君でいらっしゃるらしいのに>
右近はうんざりして言う。
「これは本当に困ったことですね。奥様にどうご報告したらよいものか。とにかくすぐに申し上げてまいりましょう」
さっそく中君のお部屋へ向かおうとするので、乳母も浮舟の君も、
<大事になってしまう>
と気まずく思う。
そんななかで匂宮様だけは平気でいらっしゃる。
<驚くほど上品で美しい人だ。右近の様子からして、ただの女房ではないらしい>
いったい何者なのだろうと気になって、名乗るように何度もおっしゃる。
浮舟の君は死にそうなほどおびえながらも、ひたすらじっと耐えている。
宮様は気の毒に思って優しくお慰めになる。
という女房たちの声が聞こえる。
あちこちの窓を閉めてまわりながら、女房仲間に声をかけているみたい。
浮舟の君がいるのは物置のように使われていた部屋で、中君のお部屋からは離れている。
右近という女房がやって来て窓を閉めた。
途端にあたりが暗くなる。
「あら、こちらにはまだ灯りをお持ちしていなかったのですね。先に窓を閉めてしまったから真っ暗」
もう一度窓を開けようとする。
匂宮様は、
<このままでは見つかってしまう。どうしようか>
と困りつつも、見つかったら見つかったでよいと思っていらっしゃる。
乳母も一瞬うろたえたけれど、気の強い人なので、この女房に協力してもらおうと決めた。
「あの、ここにちょっと困ったことが起きておりまして、すみませんがお手伝いいただけませんか」
「どうなさったの」
右近が近寄っていくと、部屋にはよい香りが漂っていて、くつろいだ格好の男が浮舟の君にぴったりと寄り添っている。
<あぁ、宮様のいつもの悪いお癖だ。よりによって面倒な相手を見つけてしまわれた。中君の異母妹君でいらっしゃるらしいのに>
右近はうんざりして言う。
「これは本当に困ったことですね。奥様にどうご報告したらよいものか。とにかくすぐに申し上げてまいりましょう」
さっそく中君のお部屋へ向かおうとするので、乳母も浮舟の君も、
<大事になってしまう>
と気まずく思う。
そんななかで匂宮様だけは平気でいらっしゃる。
<驚くほど上品で美しい人だ。右近の様子からして、ただの女房ではないらしい>
いったい何者なのだろうと気になって、名乗るように何度もおっしゃる。
浮舟の君は死にそうなほどおびえながらも、ひたすらじっと耐えている。
宮様は気の毒に思って優しくお慰めになる。



