あいにく若君もお昼寝なさっているので、宮様は離れのなかをあちこち歩いてご退屈しのぎをなさる。
すると、離れの端の、あまり人気がないあたりに見慣れない女童がいたの。
<新しい女房が連れてきた子だろうか>
宮様はご興味をひかれて、その子が入っていったところを覗いてごらんになった。
いくつかのついたての向こうに、華やかな着物の袖口が見える。
<やはりそうだ。最近この屋敷に来た女房なのだろう。なかなかよさそうな人だ>
そっと戸を開けて、部屋のなかへ入っていかれる。
まだ誰も気づいていない。
宮様が女房と勘違いなさったのは、守夫人の姫君。
この姫君のことを、これからは浮舟の君とお呼びしましょう。
浮舟の君は、横になって美しいお庭を眺めているところだった。
やっと人の気配に気づいたけれど、まさか匂宮様とは思わない。
女房が来たのだろうと思って起き上がる姿がかわいらしい。
宮様のいつもの浮気心がうずく。
ご自分はついたての後ろに隠れて、浮舟の君の着物の裾を少し引いてごらんになった。
<何かしら>
浮舟の君が扇で顔を隠しながら振り返ると、宮様は扇を持つ手をとらえてお尋ねになる。
「そなたは誰。名前を教えておくれ」
浮舟の君はぞっとする。
相手も顔を隠しているので、身分の高い人だということだけは分かる。
<私を恋人にしたいとおっしゃっている薫の君だろうか。そういえばよい香りもする>
と想像するけれど、恥ずかしさで身動きできない。
すると、離れの端の、あまり人気がないあたりに見慣れない女童がいたの。
<新しい女房が連れてきた子だろうか>
宮様はご興味をひかれて、その子が入っていったところを覗いてごらんになった。
いくつかのついたての向こうに、華やかな着物の袖口が見える。
<やはりそうだ。最近この屋敷に来た女房なのだろう。なかなかよさそうな人だ>
そっと戸を開けて、部屋のなかへ入っていかれる。
まだ誰も気づいていない。
宮様が女房と勘違いなさったのは、守夫人の姫君。
この姫君のことを、これからは浮舟の君とお呼びしましょう。
浮舟の君は、横になって美しいお庭を眺めているところだった。
やっと人の気配に気づいたけれど、まさか匂宮様とは思わない。
女房が来たのだろうと思って起き上がる姿がかわいらしい。
宮様のいつもの浮気心がうずく。
ご自分はついたての後ろに隠れて、浮舟の君の着物の裾を少し引いてごらんになった。
<何かしら>
浮舟の君が扇で顔を隠しながら振り返ると、宮様は扇を持つ手をとらえてお尋ねになる。
「そなたは誰。名前を教えておくれ」
浮舟の君はぞっとする。
相手も顔を隠しているので、身分の高い人だということだけは分かる。
<私を恋人にしたいとおっしゃっている薫の君だろうか。そういえばよい香りもする>
と想像するけれど、恥ずかしさで身動きできない。



