「一番最初に何の屋台へ行く?」とか話してたら、あっという間に旧校舎の前についた。
「ヤベェな、マジで木造じゃん。火つけたらすげー燃えそう」
「もしもし警察ですか? 隣に放火犯予定者がいるんですが」
「おいコラ聖、通報するフリすんな! 冗談に決まってんだろ!」
二階建ての木造校舎は、鉄筋コンクリート校舎でしか過ごしたことがない俺にとって、同じ『学校』とは思えなかった。
戦前からの遺物で、異物。そんな風に俺の目には映る。
一応保存会もあるらしいけど、旧校舎はあまり手入れされておらず、周囲もかなり雑草が生い茂っていた。
「ここの裏に、去年の文化祭のゴミがあるんだっけ? 虫とかたくさんいそうだし、ヤだなぁ」
俺が正直な感想を言った、すぐ後。
『ぅ……ん……』
生ぬるい風がふき、俺たち以外の人の声が聞こえた気がした。
「今、何か聞こえたな?」
占部が俺とノアを見ながら言う。
俺とノアが耳をそばだてながらうなずけば、また『…っふ……ん…』と言う、地をはうような低い声がとぎれとぎれに聞こえてきた。
「旧校舎の裏から聞こえる気がする」
ノアの言葉に、俺と占部は顔を見あわせる。
「まさか、生きてないモノの、だったり?」
実は俺、幽霊とか超常現象的なこと、あまり得意じゃないんだよね……。
煩悩ゴミは日常的に視てるから慣れてるし、モンスターにならない限りは害がないから怖くないけど。
「分からない。でも、行かないという選択肢はないよ」
表情を引きしめたノアが、迷いのない足取りで歩き出す。
「そーだな」
占部は両手で自分の顔をパチンとたたき、気合いを入れると、ノアの後ろに続く。
あー! もー! これだから現役神職の人は嫌なんですよ!
親父は寺の息子だけど、職業は普通のサラリーマンで、俺はそのサラリーマンの息子でしかないんだからなー!
*
歩を進めるごとに謎の声は大きくなり、何を言っているのかもはっきり分かるようになり、俺の胸の中は帰りたい気持ちでいっぱいになった。
俺たちは旧校舎の角を曲がり、建物の裏にいた、地獄の底から聞こえるような低い声の持ち主をついに見た。
「うっわ、キッショ!」
占部が盛大に顔を歪め、口を手で押さえる。
旧校舎の裏には事前情報の通り、文化祭っぽいカラフルな不用物が詰まった大きなゴミ袋が、五つか六つあった。
そのうちの一つがやぶけ、黒色のラグビーボール形をした物が袋の外へと転がり出て、真っぷたつにぱっくり割れていた。
その割れ目から、卵の黄身のようにどろりと外へ流れ出ていたのは――体長およそ三メートルくらいはありそうな、蛍光ピンクの巨大なゾウリムシ型煩悩モンスターでした!
『うっふ~ん♡』
ゾウリムシが低く不気味に鳴き、身体の周りにぐるりと生えた繊毛をうぞうぞとうごめかせる。
煩悩ゴミモンスターを見るのははじめてじゃないけど、こんなに大きくてキモいのははじめてだ……。
「見た目も鳴き声もキモッ!」
「この煩悩ゴミモンスター、色欲系の煩悩が多く集まってできてるんじゃないかな?」
ノアが真面目に考察し、言葉を続ける。
「おそらく孵化してから、あまり時間はたってない。被害が出る前に、今ここで浄化して消滅させる!」
ノアが首から下げているロザリオを、ぐっとにぎる。
「ハッ! 煩悩ゴミチェックじゃなく、煩悩ゴミモンスター退治かよ!」
占部は好戦的な表情で短い髪をかき上げると、ズボンのポケットからキラリと光る何かを、二個取り出した。
あれって、縫い物をする時に使う指抜きか?
「占部くん、いける?」
ノアの問いかけに占部は、「おう、任せろ!」と答えると、銀色の指抜きを左右の手に一つずつはめた。
すると指抜きはキラキラッと短くまぶしく輝き、次の瞬間にはトゲのついた銀色のメリケンサックが、占部の両こぶしにはまっていた。
「危ないから、清正は僕の後ろへ!」
ものすんごく不良っぽい武器だけどカッコいい……と、占部の武器をガン見してる俺へ、ノアからするどい声で指示が飛ぶ。
「わ、分かった」と返事した俺を、占部が「え?」とおどろいた目で見てくる。
……戦う力が俺にもあるなら、俺だってカッコよく戦いたいよ。
でも冒頭で親父に言った通り、俺は非力だから無理なの。
俺は『視えて』も『武器』はないから、煩悩ゴミがモンスターになってしまったら、逃げ隠れするしかない。
ノアの後ろに隠れて守ってもらうのは情けないけど、ケガをしたり死ぬよりは――たぶん、マシ。
「んじゃ、バケモノ退治といきますかァ!」
占部は威勢よく言い、メリケンサック同士をガキンと打ちあわせる。
「占部くん、気をつけて!」
「こんな雑魚に気遣いなんて無用だろォ!」
ノアの肩越しに、俺は戦場の様子をうかがう。
「行くぜ!」
占部は怒鳴り、五十メートル走のタイムを測る時くらいの勢いで地を蹴って、巨大ゾウリムシへ走り寄る。
「オラァ!」
メリケンサックをはめた占部の右こぶしが、巨大ゾウリムシの身体をえぐるようになぐる。
「もう一丁!」
今度は左こぶしが同じように、巨大単細胞生物へ打撃を与える。
『うっ、うふ〜ん……!』
占部のヤンキーパンチは効いているようで、蛍光ピンクのゾウリムシは身体を揺らし、あせったような声で鳴いた。
「オラオラ、どんどんいくぜ!」
占部が連続でこぶしを巨大ゾウリムシへたたきこむ。
メリケンサックの銀色がひらめくたびに、蛍光ピンクの体はじょじょに体積を減らしていく。
占部の武器により、煩悩ゴミモンスターは少しずつ浄化されているのだ。
『うふーんっ!』
もちろん煩悩ゴミモンスターだって、やられっぱなしじゃない。
巨大ゾウリムシは激しく身体をふるわせたかと思うと、身体の周りにぐるりと生えた繊毛の中から十本くらいをムチのように長く伸ばし、占部の身体をつらぬこうとした――が!
「させない!」
凛とした声と共に飛んできた、いくつもの光の十字架が繊毛ムチに刺さり、ムチは一瞬にして浄化されて消し飛ぶ。
光の十字架を飛ばしたのは、ノア。
ロザリオをにぎるノアの周りには、彼自身と背後にいる俺を守るように、いつの間にか光の十字架がいくつも浮かんでいた。
「これでトドメだっ!」
巨大ゾウリムシの身体中央にあった丸い核が、いつの間にか下へ落ちており、メリケンサックをはめた占部の右こぶしが核をくだく。
『うふっ、うふっ、うふっ、うふうふ、うふーん!!』
巨大ゾウリムシはDJがよくやるスクラッチみたいな悲鳴をあげ、大きいが薄い身体を半分に折りたたもうとする。
「浄化するから離れて!」
ノアの声にしたがい、占部が大きく後ろへジャンプして離れ、煩悩ゴミモンスターから距離をとる。
「主よ、我らの罪をお赦し下さい」
ノアがロザリオを両手でにぎって祈りを捧げると、金色の柔らかな光が巨大ゾウリムシを包む。
『うっふ〜ん……♡』
金色の光の中で、煩悩ゴミモンスターの姿がほろほろとくずれ――消滅した。
金色の光が完全に消えた後に残ったのは、何のへんてつもない文化祭のゴミだけで、黒色の卵のカケラすらなかった。
「ふう……終わった」
ノアが大きく息をはき、ロザリオから手を放す。
「楽勝だったな。野球部の連中が部活に来る前に終わらせられて、よかったぜ」
こちらへと戻ってくる占部の両手には、もうメリケンサックはなく、ただの銀の指抜きがはまっているだけだ。
「坊野内って、武器持ってねーんだ?」
指抜きを指から外しながら、占部が聞いてきた。
「あればいいんだけどねー、ないんだわ」
俺は苦笑いして答える。
煩悩ゴミ同士が合体して生まれたモンスターは、特別な武器でしか倒せない。
『特別な武器』は、煩悩ゴミとは対極の存在といっていい。
長く大事にされている物が、持ち主の気持ちにこたえ、霊力をまとって変化して武器となる。
ノアは、小さなころから持っているロザリオが武器。
メリケンサックになった占部の指抜きも、きっと長いこと大事に使っている愛用品なのだろう。
「今はなくても、防野内なら近い将来持てると思うぜ」
フォローするみたいに占部が、俺の肩をたたく。
物の武器化は、『所持している期間より、気持ちが重要』と言われているけど――そもそも俺の宝物が何なのか、俺自身が分かっていない。
だから俺は武器を持てるかどうかの、スタートラインにすら立てていない。
「それはどうだろうな?」
俺は守られるより守りたいから、カッコよく戦うことにあこがれる。
でも俺は武器を持ってないから、ムリ。
……まぁ、現役神職なノアや占部と違って、俺はサラリーマンの子供だし。
戦うってことは、危険でもあるわけだし。
というか、まず今俺は新しいスマホを買ってもらうために、三カ月限定でキレピカ会へ復帰しただけなワケ。
三カ月すぎたら退会するから、煩悩ゴミと関わることもなくなって、煩悩ゴミモンスターと遭遇することも超低確率になるワケ。
なら、武器を持ってなくたって、くやしがる必要はない。
――はい、負け犬の遠ぼえでーす……。
「モンスター倒したし、帰ろうぜ。あー、あっちぃし疲れたー」
占部が右肩をぐるぐる回しながら、来た道を戻りはじめる。
「清正、帰るよ」
「ああ」
ノアと占部の連携、カッコよかったな。
俺だけ超役立たずで、カッコ悪い。
武器がないから戦闘時はお荷物だし、ノアとはしばらくの間ギクシャクした関係が続くんだろうし、今すぐキレピカ会やめたい……。
「ヤベェな、マジで木造じゃん。火つけたらすげー燃えそう」
「もしもし警察ですか? 隣に放火犯予定者がいるんですが」
「おいコラ聖、通報するフリすんな! 冗談に決まってんだろ!」
二階建ての木造校舎は、鉄筋コンクリート校舎でしか過ごしたことがない俺にとって、同じ『学校』とは思えなかった。
戦前からの遺物で、異物。そんな風に俺の目には映る。
一応保存会もあるらしいけど、旧校舎はあまり手入れされておらず、周囲もかなり雑草が生い茂っていた。
「ここの裏に、去年の文化祭のゴミがあるんだっけ? 虫とかたくさんいそうだし、ヤだなぁ」
俺が正直な感想を言った、すぐ後。
『ぅ……ん……』
生ぬるい風がふき、俺たち以外の人の声が聞こえた気がした。
「今、何か聞こえたな?」
占部が俺とノアを見ながら言う。
俺とノアが耳をそばだてながらうなずけば、また『…っふ……ん…』と言う、地をはうような低い声がとぎれとぎれに聞こえてきた。
「旧校舎の裏から聞こえる気がする」
ノアの言葉に、俺と占部は顔を見あわせる。
「まさか、生きてないモノの、だったり?」
実は俺、幽霊とか超常現象的なこと、あまり得意じゃないんだよね……。
煩悩ゴミは日常的に視てるから慣れてるし、モンスターにならない限りは害がないから怖くないけど。
「分からない。でも、行かないという選択肢はないよ」
表情を引きしめたノアが、迷いのない足取りで歩き出す。
「そーだな」
占部は両手で自分の顔をパチンとたたき、気合いを入れると、ノアの後ろに続く。
あー! もー! これだから現役神職の人は嫌なんですよ!
親父は寺の息子だけど、職業は普通のサラリーマンで、俺はそのサラリーマンの息子でしかないんだからなー!
*
歩を進めるごとに謎の声は大きくなり、何を言っているのかもはっきり分かるようになり、俺の胸の中は帰りたい気持ちでいっぱいになった。
俺たちは旧校舎の角を曲がり、建物の裏にいた、地獄の底から聞こえるような低い声の持ち主をついに見た。
「うっわ、キッショ!」
占部が盛大に顔を歪め、口を手で押さえる。
旧校舎の裏には事前情報の通り、文化祭っぽいカラフルな不用物が詰まった大きなゴミ袋が、五つか六つあった。
そのうちの一つがやぶけ、黒色のラグビーボール形をした物が袋の外へと転がり出て、真っぷたつにぱっくり割れていた。
その割れ目から、卵の黄身のようにどろりと外へ流れ出ていたのは――体長およそ三メートルくらいはありそうな、蛍光ピンクの巨大なゾウリムシ型煩悩モンスターでした!
『うっふ~ん♡』
ゾウリムシが低く不気味に鳴き、身体の周りにぐるりと生えた繊毛をうぞうぞとうごめかせる。
煩悩ゴミモンスターを見るのははじめてじゃないけど、こんなに大きくてキモいのははじめてだ……。
「見た目も鳴き声もキモッ!」
「この煩悩ゴミモンスター、色欲系の煩悩が多く集まってできてるんじゃないかな?」
ノアが真面目に考察し、言葉を続ける。
「おそらく孵化してから、あまり時間はたってない。被害が出る前に、今ここで浄化して消滅させる!」
ノアが首から下げているロザリオを、ぐっとにぎる。
「ハッ! 煩悩ゴミチェックじゃなく、煩悩ゴミモンスター退治かよ!」
占部は好戦的な表情で短い髪をかき上げると、ズボンのポケットからキラリと光る何かを、二個取り出した。
あれって、縫い物をする時に使う指抜きか?
「占部くん、いける?」
ノアの問いかけに占部は、「おう、任せろ!」と答えると、銀色の指抜きを左右の手に一つずつはめた。
すると指抜きはキラキラッと短くまぶしく輝き、次の瞬間にはトゲのついた銀色のメリケンサックが、占部の両こぶしにはまっていた。
「危ないから、清正は僕の後ろへ!」
ものすんごく不良っぽい武器だけどカッコいい……と、占部の武器をガン見してる俺へ、ノアからするどい声で指示が飛ぶ。
「わ、分かった」と返事した俺を、占部が「え?」とおどろいた目で見てくる。
……戦う力が俺にもあるなら、俺だってカッコよく戦いたいよ。
でも冒頭で親父に言った通り、俺は非力だから無理なの。
俺は『視えて』も『武器』はないから、煩悩ゴミがモンスターになってしまったら、逃げ隠れするしかない。
ノアの後ろに隠れて守ってもらうのは情けないけど、ケガをしたり死ぬよりは――たぶん、マシ。
「んじゃ、バケモノ退治といきますかァ!」
占部は威勢よく言い、メリケンサック同士をガキンと打ちあわせる。
「占部くん、気をつけて!」
「こんな雑魚に気遣いなんて無用だろォ!」
ノアの肩越しに、俺は戦場の様子をうかがう。
「行くぜ!」
占部は怒鳴り、五十メートル走のタイムを測る時くらいの勢いで地を蹴って、巨大ゾウリムシへ走り寄る。
「オラァ!」
メリケンサックをはめた占部の右こぶしが、巨大ゾウリムシの身体をえぐるようになぐる。
「もう一丁!」
今度は左こぶしが同じように、巨大単細胞生物へ打撃を与える。
『うっ、うふ〜ん……!』
占部のヤンキーパンチは効いているようで、蛍光ピンクのゾウリムシは身体を揺らし、あせったような声で鳴いた。
「オラオラ、どんどんいくぜ!」
占部が連続でこぶしを巨大ゾウリムシへたたきこむ。
メリケンサックの銀色がひらめくたびに、蛍光ピンクの体はじょじょに体積を減らしていく。
占部の武器により、煩悩ゴミモンスターは少しずつ浄化されているのだ。
『うふーんっ!』
もちろん煩悩ゴミモンスターだって、やられっぱなしじゃない。
巨大ゾウリムシは激しく身体をふるわせたかと思うと、身体の周りにぐるりと生えた繊毛の中から十本くらいをムチのように長く伸ばし、占部の身体をつらぬこうとした――が!
「させない!」
凛とした声と共に飛んできた、いくつもの光の十字架が繊毛ムチに刺さり、ムチは一瞬にして浄化されて消し飛ぶ。
光の十字架を飛ばしたのは、ノア。
ロザリオをにぎるノアの周りには、彼自身と背後にいる俺を守るように、いつの間にか光の十字架がいくつも浮かんでいた。
「これでトドメだっ!」
巨大ゾウリムシの身体中央にあった丸い核が、いつの間にか下へ落ちており、メリケンサックをはめた占部の右こぶしが核をくだく。
『うふっ、うふっ、うふっ、うふうふ、うふーん!!』
巨大ゾウリムシはDJがよくやるスクラッチみたいな悲鳴をあげ、大きいが薄い身体を半分に折りたたもうとする。
「浄化するから離れて!」
ノアの声にしたがい、占部が大きく後ろへジャンプして離れ、煩悩ゴミモンスターから距離をとる。
「主よ、我らの罪をお赦し下さい」
ノアがロザリオを両手でにぎって祈りを捧げると、金色の柔らかな光が巨大ゾウリムシを包む。
『うっふ〜ん……♡』
金色の光の中で、煩悩ゴミモンスターの姿がほろほろとくずれ――消滅した。
金色の光が完全に消えた後に残ったのは、何のへんてつもない文化祭のゴミだけで、黒色の卵のカケラすらなかった。
「ふう……終わった」
ノアが大きく息をはき、ロザリオから手を放す。
「楽勝だったな。野球部の連中が部活に来る前に終わらせられて、よかったぜ」
こちらへと戻ってくる占部の両手には、もうメリケンサックはなく、ただの銀の指抜きがはまっているだけだ。
「坊野内って、武器持ってねーんだ?」
指抜きを指から外しながら、占部が聞いてきた。
「あればいいんだけどねー、ないんだわ」
俺は苦笑いして答える。
煩悩ゴミ同士が合体して生まれたモンスターは、特別な武器でしか倒せない。
『特別な武器』は、煩悩ゴミとは対極の存在といっていい。
長く大事にされている物が、持ち主の気持ちにこたえ、霊力をまとって変化して武器となる。
ノアは、小さなころから持っているロザリオが武器。
メリケンサックになった占部の指抜きも、きっと長いこと大事に使っている愛用品なのだろう。
「今はなくても、防野内なら近い将来持てると思うぜ」
フォローするみたいに占部が、俺の肩をたたく。
物の武器化は、『所持している期間より、気持ちが重要』と言われているけど――そもそも俺の宝物が何なのか、俺自身が分かっていない。
だから俺は武器を持てるかどうかの、スタートラインにすら立てていない。
「それはどうだろうな?」
俺は守られるより守りたいから、カッコよく戦うことにあこがれる。
でも俺は武器を持ってないから、ムリ。
……まぁ、現役神職なノアや占部と違って、俺はサラリーマンの子供だし。
戦うってことは、危険でもあるわけだし。
というか、まず今俺は新しいスマホを買ってもらうために、三カ月限定でキレピカ会へ復帰しただけなワケ。
三カ月すぎたら退会するから、煩悩ゴミと関わることもなくなって、煩悩ゴミモンスターと遭遇することも超低確率になるワケ。
なら、武器を持ってなくたって、くやしがる必要はない。
――はい、負け犬の遠ぼえでーす……。
「モンスター倒したし、帰ろうぜ。あー、あっちぃし疲れたー」
占部が右肩をぐるぐる回しながら、来た道を戻りはじめる。
「清正、帰るよ」
「ああ」
ノアと占部の連携、カッコよかったな。
俺だけ超役立たずで、カッコ悪い。
武器がないから戦闘時はお荷物だし、ノアとはしばらくの間ギクシャクした関係が続くんだろうし、今すぐキレピカ会やめたい……。


