気付けば口から零れていた。
恋人になった今なら、言ってもいい言葉のはずなのに。それなのにたった二文字を伝えただけで心臓が壊れそうなくらい暴れ出す。
耳まで熱い。顔も絶対真っ赤だ。
東は一瞬だけ目を見開いていた。きっと予想していなかったんだろう。
でも次の瞬間、東はふっと優しく笑ってから、照れたように視線を逸らし、それから私を見た。
「俺も好きだよ」
「……ん」
あぁ、もう、私のバカ。好き、と先に言ったのは私なのに、まさか東もそんなふうに返してくれるなんて思っていなかったから、顔が緩むのを止められない。
だって嬉しい。すごく嬉しい。
東が私を好きだって言った。恋人なんだから当たり前のことなのかもしれない。
でも、実際に言葉で聞くのは全然違う。胸の奥がじんわり熱くなって、幸せが溢れてきて、心臓が痛いくらい暴れてしまう。
もう完全に勉強どころじゃない。数学の公式なんて頭に入るわけがない。今の私の頭の中は東でいっぱいだ。
「西宮さ、気づいてる?」
「うん?」
東がふいにそう言って、持っていたシャープペンシルを問題集の上に置く。
何だろうと思っていると、東がこちらへ身体を向けた。そしてゆっくり手を伸ばしてくる。



