どれくらいそうしていただろう。
ほんの数分だったのかもしれない。もしかしたらもっと短かったのかもしれない。
なのに私にはずいぶん長い時間が流れたように感じられた。時間の感覚なんてとっくにおかしくなっていたから。
やがて東が少しだけ距離を取る。
唇が離れた瞬間、ようやく呼吸を思い出した。
私の頬を両手で包み込んだまま、必死で呼吸を整える私を見て、東が堪えきれないみたいに笑った。
子どもみたいに笑う東が、私の頬を包んでいた手を少しだけ緩めたかと思うと、そのままそっとコツンと額を寄せてくる。
東の笑い声が、すぐそこから聞こえる。
ほんの少し喉の奥で転がるみたいな、小さくて柔らかい笑い方。
それが耳に届いた瞬間、胸の奥が不意にきゅっと締め付けられた。
「どうしよう、あずま…」
「うん」
「私、幸せかも…」
「……俺も」
ふたりきりの教室で、静けさの中に混じるのは、私と東の小さな笑い声だけだった。
好きだよ、と呟いた東を見て、やっぱり私はまた泣きたくなってしまった。



