一瞬だけ目が合ったまま、東は自分の鎖骨にそっと手を当てる。
そのあと、ふっと伏し目になって、静かに息を吐いた。
そして次の瞬間、さっきまでとはまるで違う目で、私をまっすぐ見た。
その視線に捕まった瞬間、背中にぞくりとした何かが走る。
動けない。
あ、まずいかも——そう思ったときにはもう遅かった。
「…っ、あず——」
言いかけた声は途中で途切れる。東が私の両手首をもう一度掴んで、ぐっと距離を詰めてくる。
「さすがにそれは、俺でも止まれない」
低い声だった。いつもの東じゃないみたいに、静かで、熱を含んでいて、逃げ道を塞ぐみたいな声。
そのまま私は軽く押されて、視界が一瞬だけ揺れた。
「ちょっと、わかってなさすぎ」
気づいたら押し倒されていて、私の上に跨った東は困ったように笑った。でもその笑い方は、さっきまでの優しさとは違っていて、余裕のなさが隠しきれていない。



