理性とか全部どうでもよくなって、私は勢いのまま東の首元に顔を埋める。
近すぎる体温に、心臓がまた暴れ出す。
思わず、そのまま鎖骨あたりに軽く歯を立てた。
感情が形になってしまったみたいに、抑えきれなかった衝動。
東の肩が一瞬だけピクッと跳ねて、よろける。
初めてで、これが合ってるのかどうか分からないけれど。
唇を離すと、そこには、小さく赤い痕が残っている。
私はその痕を見つめたまま、呼吸が乱れていくのを感じていた。好きとか、嫌いとか、怒りとか安心とか、全部が混ざってもう説明できない。
荒くなった呼吸をごまかすみたいに、私は口元を拭って、それから、自分のしたことをじっと見つめる。
つけた。東に、つけてやった、私が。
鎖骨に刻まれた小さな痕が、しっかりとそこにある。
ゆっくりと視線を上げると、東は驚いたまま固まっていた。いつもみたいに余裕のある顔じゃない。まるで別人みたいに動揺している。
わからないでしょ、東。
私が今どんな気持ちでこれをしたのかなんて。
こんなこと、したいなんて思ってたことすら、知らなかったでしょ。
ねぇ、東。
東は、私にこんなふうに触れたいって思うの?



