”付き合って”
そう優しい声で言った目の前の東は、いつもみたいに少し困ったような、それでも真っすぐな目で私を見ている。
その瞳が、私の好きな三日月みたいな形をしていて、その目を見た瞬間、また涙が出そうになる。
その笑い方が好きだった。その目が好きだった。私が何度も見てきた顔だった。
好きになった理由なんて数えきれないけど、そのひとつが今目の前にある。
「…ほ、本気で言ってる?」
「うん」
「友達の好きじゃなくて?」
「西宮は、友達だけど、友達じゃないよ」
なんだそれ、って思うのに、嘘じゃないってことだけは分かってしまう。
東は嘘なんかつかない。だからこそ、余計に混乱する。
私はうつむいたまま、息を整えることもできなくて、ただ言葉を探した。
「わ、わたし、は……」
声が震える。自分の中にあるものが多すぎて、どれを出せばいいのか分からない。
でも、ひとつだけはっきりしている。
私はずっと、東が好きだった。1年生の頃からずっと。東しか好きになったことがなくて、東が初恋だ。



