涙で滲む視界の向こうにいる東だけが、なぜか異様にはっきり見える。
きっと私は今ひどい顔をしている。目は真っ赤だし、鼻もぐしゃぐしゃだし、全然可愛くなんてない。それでももうどうでもよかった。
最後なんだから。これで終わりなんだから。
東の手に、さらに強く力がこもる。びくり、と肩が震える。低いはずの体温から、その熱が痛いほど伝わってきて、私の心臓はまた大きく跳ねた。
「…西宮のことが、好きだから」
「え…?」
今、なんて言ったの。耳は聞いてるのに、意味だけが脳に届かない。
「好きだから…西宮もまだ俺のことが好きだったらいいのにって思ってる」
まって、どういうこと。
息がうまくできない。
「……な、に」
東が、私を好き?そんなこと、あるはずがない。
だって今まで、ずっと、私だけがーー。
「たぶん、俺のほうが先に好きだった」



